めちゃくちゃ久しぶりに小説のフォルダを開けたらなんか出てきたんですけど
これだけ読んだらおもしろかったから載せちゃう
書こうとして書けなくて思いついた一部分だけとりあえず書いたやつ
作品として完成しない文章はぶっちゃけ無価値だけどだからこそ美味みたいなところある
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数がずいぶん足りない。台所をよく見回すと、冷蔵庫と食器棚の間の細い隙間に赤い包みがひとつ転がっていた。
莉里の腕なら入る幅だが、届くだろうか。試しに右手を差しこんでみたが届かず、莉里は拾ったキャンディをひとまず床に置いて、もう一度うんと腕を伸ばした。肩まで入れて指先で探ってみても、何も触らない。莉里は肩だけ抜いて隙間に顔を押しつけた。埃くさい。キャンディは確かにある。
なんとか届かないだろうか。このままにしていたら、帰ってきたママが疲れた顔をする。
喉の奥からぐっと泣きたいような気持が込み上げた。
キャンディの位置を確かめながら指で床をたぐる莉里の視界にふっと違和感が差した。隙間が暗くなった。いや、なんだか広くなった。奥の方が真っ暗な穴に続いているように見える。どこかに続いているその穴の手前で、赤い包みのキャンディがふんわりと光を放っている。
あっ、と莉里は思わず声を上げた。精一杯伸ばした莉里の中指の先にキャンディが触れた。届く。
もう少し、と夢中で腕を伸ばした。もうこれ以上は無理だと思っていたのに、莉里がぐい、と右手を押し込むようにすると、ぐん、と難なく奥まで入って、手のひらでキャンディをつかまえた。莉里の手の中でやはりほんのり光っているように見える。
これはなんだかヘンだ、と莉里は気付いていた。莉里は今あの莉里の腕がやっと入るだけの隙間に、右腕の肩までと頭を、同時に突っ込んでいる体勢だった。振り返ることはできないけれど、あまり窮屈でもない。試しにもう少し前へ出てみると、左肩も入った。左肘、右膝。まだ入る。まだ見つからない残りのキャンディは、この奥まで転がってしまったのだろうか。右手の中のやわらかい光は、莉里を奥の穴へ誘っているようだった。
ママのことを少し考えた。
