『ツバサ』という曲。
デビュー曲だからか、作った瞬間、出来上がって行く過程、全てを鮮明に覚えてる。
僕は当時26歳。
何のあてもなく、音楽をして、生き、食べていきたいとメンバーに伝え、ワンボックスの車に荷物を詰め込んで、東京に出て来てからもう4年ぐらい経った頃。
3バンド11人の共同生活から、アンダーグラフのみの共同生活に変わり、僕の部屋は4畳半で、最初はクーラーも無かった。
僕だけじゃない。メンバーも同じような部屋で、アルバイト、音楽、アルバイトの繰り返し。
大学を卒業して東京に出たから、周りの友達は、当然就職していたし、車を買ったり、結婚したり、家を買ったり。
毎日が焦りと不安。
だけど、夢だけは頭と胸の中には拡がっていた。
曇り空の夕方だったと思う。
ギターを持ち、何となくコードを弾きながら歌を口ずさむ。
メロディと歌詞が、同時に生まれてくるパターンだったこの曲。
目の前には、実家から送られてきた荷物が入っていたダンボールがあった。
やがて、この曲でメジャーデビューが決まる。
「サビに出てくる『青春の日々』の『青春』という表現は古くないか?」
「一番のサビまでが、長過ぎないか?」
などの沢山の意見を言われたのを覚えているが、僕らは変えなかった。
デビューの日。
相変わらずアルバイトをしていた。
発売週は、180位ぐらい。
デビューしても何も変わらないんだな。
それでもLIVEをし続けた。
9月に発売したこの曲は、翌年の2月にはTOP10入りした。
僕らは、僕ららしい音楽を作っていただけ。
聞いた皆が、僕らを、曲を見つけてくれたんだ。
そして、僕らは今でも、曲は知っているけど、まだ直接出会えていない人達と会う為に、LIVEをする。
なるべくなら、全員に会いたい。
この曲は、僕らが奏でているんですよと。
真戸原
ボーカル真戸原がアンダーグラフの歴史やここだけでしか聞けない話を執筆中の「月曜日の楽しみ」
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