昨日の朝のこと。歯を磨こうとしたらちょうどお父さんが洗面所で顔を洗っていた。
そのまま歯を磨こうと、なぜか私がいつも使っているピンクの歯ブラシに手を伸ばした。エッ・・・と思いつつ、「それ私のなんだけど。」と言ったら、「じゃぁ俺のどれ?」と言われた。
さらにエエッ・・・と思った。いつもどれ使ってるん?!まさか私が使ってるのと同じ歯ブラシ!?!?
何度も確認したけどこの歯ブラシは使ったことないと答えるので、そのままピンクの歯ブラシを使ったけれど、夜、歯を磨こうともう一度その歯ブラシをよく見てみる。
そしてお父さんが、見つけたと言ったもう一つのピンクの歯ブラシを見てみる。よーーーく似てるんだけれど、よくよく考えると、私が買った歯ブラシって・・・山ぎりカットではなかったぞ!!!!
気付いて、とりあえず風呂場で叫んだ。
ア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーークソムカツクーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
午前2時のことだった。
私は間違いなくピンクの歯ブラシをいつも同じ場所に直していたのに。何がどうなったら、いつも使ってたはずの歯ブラシが入れ替わるの?????????
てゆうかなんで父と娘で「ピンクの歯ブラシ」がかぶるの????????????
わからない・・・・わからないよ!!!!!!!!!!!!
しかも、いつから入れ替わっていたのかも分からない。そう考えると、口中に唾液が溜まってきた。とりあえず口を洗いたいと思った。すぐにでも間違って使ってしまったピンクの歯ブラシを捨ててしまいたかった。
でも、買い置きの新しい歯ブラシはないし・・・。すごく迷った結果、私の取った行動は、前に泊まりに来た友達が一回だけ使った歯ブラシを使うことにした(笑。
友達には悪いけど、お父さんの使ってたと思われる歯ブラシで歯を磨くよりマシだ。
と、そう思ったとき、自分のお父さんなのに、お父さんのことが生理的に受け付けないんだと気付いた。
間接キスなんて気にしないけど、歯ブラシは誰だってちょっと嫌だよね。でもそれがお父さんだって思ったら自然と唾液が溜まってくるくらい。
ああだから、話しかけられただけでこんなにもいらいらしていたのか。お父さんの脱いだ服もかじりかけのパンも、もしそれが私の身の回りにあったら迷わず排除している。
誰だって娘は思春期に父親を嫌ったりするものだけれど、大人になっていく今、むしろ年を追うごとにお父さんに対して抱く嫌悪感が強くなっていく。
40歳を超えてもふさふさだった黒髪にも少しずつ白髪が生えてきて、スキンヘッドになって、眉毛にも少し白い毛が見える。
どことなく皺が増えて、力なくなっていく瞼とか。100円ショップの老眼鏡や、耳が聞こえにくくなってテレビの音量をバカでかくすることや。50歳を超えたことを嬉しそうにしていることも。
嬉しそうに話しかけられるとなおさらいらいらする。
食事のときに口の中の音が聞こえるのとか、その音と同じリズムでこめかみがしっかり動くのとか、見てて、全部全部いらいらする。心からお父さんに嫌悪している自分を、やっと認識した。
人から見れば、どれも些細なことで笑い話にさえ聞こえるのかも知れないけれど、私にはそうじゃない。ひとつ屋根の下で暮らしていることに時々限界を感じたりする。
例えば今。買っても買っても勝手に取っていって失くされるビニール傘や、楽しみに取っておいたデザートを食べられたり。しかもその食べた後が片付けられずに、もうその人はイビキをかいてるの。
でも、私はその人の実の娘だ。性格も、見事に父親譲りだ。考えてみれば、だらしないところも自分本位で感情の赴くままに行動してしまうところも変にプライドが高いところも協調性がないところも、いろいろ、わからないけど、全部父親譲りだ。
だから私は、自分のそういうところが嫌いで、自分のそういうところと正反対な人ばかり好きになる。
娘は父親に似てる人をよく好きになると言うけれど、私はお父さんみたいな人は絶対に嫌だ。
考えてみれば、でもそれって無理な話じゃないかと思う。自分の嫌いなところを曲げれなくて、だから自分の好きな人と相容れられない。彼はいつもいつも正しすぎる。
私のお母さんは、いつも規律正しくて堅実なおじいちゃんが嫌いで、だからそれとは正反対のお父さんを好きになったらしい。
そして私は、今度はそれとは逆に、お母さんの嫌いだったおじいちゃんみたいな人を好きになるのか。
でも変えられない。お父さんに対する負のコンプレックスは、私の育った環境なのだから、多分一生つきまとうのだろう。
その日、なかなか寝付けなかった。お父さんが、赤の他人になってしまえばいいのに。だったらこれ以上嫌いにならずに済むのに。そう願いながら。