二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格があったかどうか

あとで

疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと 胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そしてなぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい



「祝婚歌」吉野 弘  作

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有名な詩ですよね。多分。

先日仕事中、結婚披露宴の祝辞で披露していた方がおりました。ああ、どっかで聞いたことあるフレーズ・・・って一瞬思ったのだけれど、そのときになって胸を打たれた詩。

ちょうど、完璧でいられたら・・・というようなことを、考えている最中でした。

ここでいう「完璧」とは、少し違うかも知れないけれど

でも少なくとも今の自分に必要な言葉だったのでしょう。仕事中なのにポロっと泣きそうになってしまった(笑。

それに、相手を思いやるという意味でも、よく考えさせられます。正しいことを言うときは・・・なんてまさにそれだなぁと思ってしまう。