補聴器物語(2)
補聴器のカタログを見ていたら、面白いことが書いてあった。
それは難聴者の症状の経過に関するものだったが、面白いことに(?)難聴者自身も周囲の人間も、どこもほぼ同じ経過をたどるのである。
私も兄弟たちも、母と話しているときには何度も「は?」「なんだって?」などと聞き返されて、いい加減イライラした。友達にも「耳が遠い人と話すと周りが疲れる」と言われたということだから、周囲の人も疲れていただろう。
情状証人で出廷してくれたとき には、どうなることやらと思っていたが(壇上の裁判長と証言席の間にはそれなりの距離があるが拡声マイクはない)、やはり裁判長の言うことを、は?は?と聞き返し、裁判長が嫌そうに何度も言い直していた(情状が悪くなったかもしれない)。
高齢を原因とする加齢難聴で起こる、本人と周りの状況に、この「聞き返しが多くなり、周りが疲れる」というのが挙げられる。
またこのような状況が起こってくると、悪いと思うのか見栄なのかしらないが、「生返事をする」ようになる。
内容をよくわかっていないくせに、わかったような返事をするのだ。
だから内容に食い違いが生じて、これもトラブルの原因になる。
あとは「本人が年寄りみたいだと装用に拒否感を示すケース」というようなこともカタログには書いてあって、まったくどこの年寄りも似たようなものだと驚いてしまう。
うちの母親の場合には当てはまらないが、「本人が申し訳ないと思って周囲と疎遠にする」などという場合もあるという。
あんまり難聴が進むと、音声刺激の不足から痴呆症状が進んだりもするというから、たかが難聴と侮れない。
共通して言えることは、本人が困ったり、周囲とトラブルになったりしないためにも、「早め早めの装用」なのだそうだ。
補聴器はまだ買いに行っていない。
本人は耳と髪にほとんど隠れてしまう外観と、重さをほとんど感じない装用感のよさと、若者の音響機器のようなオシャレなデザインですぐにでも欲しがっているのだが私の財布の都合がつかない、というのは冗談で、足の小指付近を2か所骨折したのだ。
トイレに起きた時にすべったのだというが…。
今日で2週間だが、まだ医者の許可が出ないのでギプスが外れず、しばらくは買いに行けなさそうだ。