パンツの穴 | ||Φ|(T|T|)|Φ||    監獄☆日記    ||Φ|(T|T|)|Φ||

パンツの穴

 西友でパンツと靴下を買った。

 今まで履いていたパンツは、留置場の中で「男」に貰ったものだ。


 手持ちの枚数では心もとなかったが、誰も面会に来てくれず枚数の追加ができなかった私に、「新品だからこれを使え」と、くれたのである。

 とはいえ、留置場では物のやり取りは禁止であって、それで「男」はどうしたかというと、夜の洗面後の入房のときにうまく自分の着衣の中にしのばせて房に入り、「明日の朝、着替えの振りして、ロッカーに仕舞っちまえばいい」とまで、厄介な面倒を踏んで貰ったものだ。

 

 男には、「次に来た奴に親切にしてやれよ」と言われていた。

 だから私は、ずいぶん後に入ってきた、着衣に困っていた中国人に私の新品のパンツを、男がしたような方法で、中国人にあげた。

 あげると言ったのに、中国人は自分のパンツが差し入れで入ってきたあと、彼が着用したもとは私のパンツを、私に返してきた。

 なんか嫌だなとは思ったが、もったいないので、返してもらって私は履いた。

 

 そのような思い出があるパンツを私は、中でも、帰ってきてからも履き続けていたが、ついに股の部分や太ももの部分がすり切れたり、穴が開いたりして、パンツの用をなさなくなったのだ。

 

 買ったパンツは安物だ。

 とんでもなく手触りのいい、速乾・防臭といった1枚2,000円近いパンツもあったが、私が買ったのは1枚300円のボクサーパンツ、2枚500円のトランクス、2足500円の靴下である。

 とても新素材には手が出ないから、綿のオーソドックスなものだ。

 

 残念だが、「男」に貰ったパンツは、次の燃えるゴミの日に出すことにする。

 

 名前も、年齢も、連絡先も、何も教えてはくれなかったが、貴方から多大な影響を受け、貴方に救われ、貴方に心から感謝を捧げている人間がここにいる。

 どうかどうか、お元気で。