裁判傍聴のススメ。
私は別に司法フリークでも、現体制に一家言あるわけでもないが、今さら庭の枯れ木について書くのも妙なので、もう少し司法について書くことにする。
裁判見学(傍聴という)は、非常に簡単だ。近くの裁判所に行って、直接法廷に行くだけだ。
受付には開廷される事件の一覧表もある。
民事事件はたいてい書類のやり取りだけで終わってしまうので、刑事事件がいい。
「法廷ガイド」というパンフレットもあって、法廷での位置関係が、イラストで書かれている。
私がよく座るおすすめの席は、最前列中央の、やや右か左よりだ。
この席からだと、裁判官・検察官・弁護人・被告人・護送警察官が、一度に目に入る。
即日結審するような簡単な事件だと、検察官の冒頭陳述(なにをやったか)から、判決までが1回で終わるので、事件がよくわかる。
傍聴人が1人でもいると、弁護人もがぜん発奮するようだ。
運がよければ「逆転裁判」ばりに、異議あり! と立ち上がるのが、見られるだろう。
私は、殺人事件の被告人の弟に間違えられ、殺された被害者の同僚というおばさんに、罵声を浴びせられた経験が1回だけある。
そのおばさんは、うつむく被告人を睨み付けたり、退廷する被告人に「うそつき!」などと悪態をついていたが、矛先が私に向き、「あんたも立場が分かってるなら一番後ろに座りなさいよ!」と罵ったのだ。
たまたま弁護側が被告人の実弟を情状証人に申請した日で、早とちりしたのだろう。
被害者感情を察してか、本当に関係者だと思ったのかは知らないが、4人並んだ弁護人は揃ってうつむいたままで、「違います! その人は○○の弟じゃありません!」ととりなしてくれたのは、検察官だった。
被害者のお兄さんは、「どうも申し訳ありません」と、頭を下げてくれた。
妹を殺されながらも謝る兄が、どこの世界にいるだろうか?
腹が立つより先に、私は暗澹たる気持ちになった。
勘違いおばさんは、最後まで私に謝らなかった。