松たか子さん主演で映画化された同名作品の原作です。
私は映画は観ておりませんが「誰も救われない話」と聞いてまして、映画はDVDになった今も見ないままです。
お友達に母娘で湊かなえさんのファンという方が居て、「湊かなえ作品にハズレなし!」と太鼓判を頂いていたので、原作は読んでみたいと思っていましたら、偶然図書館で出会えまして。
正直なところ、こんなに早く原作を読む機会があると思わなかったので、どうも被害者の小さな子供さんが天才子役の芦田愛菜ちゃんの顔で(映画でその役を演じたそうですが、観てもいないのに・・・;;;)頭に浮かび、ドラマ『Mother』での親に虐待を受ける可哀想な子供の愛菜ちゃんの姿とだぶってしまい、邪念だらけの読み始めになってしまいました。(* ̄∇ ̄*)>
物語はS中学校の一年B組の担任・森口悠子の告白から始まった。
三学期最後のこの日、森口も教師生活にピリオドを打つのだ。
シングルマザーの森口は四歳の愛娘・愛美を亡くしたばかりだった。
誤って学校のプールに転落しての「事故死」として片付けられた。
しかし彼女は生徒たちを前に言った。
「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたのです!」
一教師の告白から、愛美を死に追いやった生徒、その家族などを巻き込み、救われない復讐劇となって衝撃の結末を迎える。
人の立場を変えれば、同じ事象も全く異なった意味を持ち、何でもなかった言葉が重い意味を持ち、人の悪意は留まることを知らないかのように増幅する。
親は子を思い、子は親を慕う・・・けれど、小さなボタンの掛け違いで、それぞれの優しい思いは激しい憎悪にまで発展する場合もある。
背筋が寒くなるような怖くて、そして悲しいお話でした。
一番の被害者は、何も悪くないのに死ななければならなかった愛美でしょう。
憎しみから生まれるものなど何も無いけれど、唯一無二の愛娘をこんな目に遭わされたら、私なら犯人を突き止めた時点で我を忘れて八つ裂きにしてしまうと思います。
受け持ったクラスの子供が我が子の命を奪った犯人とわかっても、冷静に「教育者」としての立場を全うした森口悠子は立派だと思います。(←冷静に教壇から去った点に於いてです)
もしも彼女の蒔いた種が、芽吹くことなく時が過ぎるような事態になったとき、彼女は一体どんな手段に出たのだろう?と読了後にしばらく考え込んでしまいました。
