この本は、お友達の某P様のおススメがあったので、私には珍しく図書館で予約して借りて来ました。
ポンコ(夫が付けた主人公の呼び名)は、夫の福太郎と結婚するまで地味で冴えない独身生活を送って来た。
外見も太めの中年女性だが、四十を過ぎて結婚した福太郎とは、まだ新婚気分である。
福太郎は、ダイエット村でダイエットに励むことになり、一人マンションに残されたポンコは帰る実家も無いので、夫の実家に身を寄せることに。
この本は夫の留守中に起こった出来事を、いつか彼に読んでもらおうと書き始めた日記である。
福太郎の実家には、年老いた両親と古くからこの家でお手伝いとして働いている黄泉(よみ)さんという耳の遠い老人が居る。
ポンコは三人の老人を介護することになるであろう将来や、少しずつ近付く死へのカウントダウンを感じながらも、日々をそれなりに楽しく過ごしていた。
そんなある日、ダイエット村の福太郎から離婚届が送られてくる。
福太郎からの離婚の申し出は初めてではなかったが、「自由になりたい」と言われポンコは落ちこんでしまう。
しかしすでに福太郎の両親や黄泉さんにとって、ポンコは家族の一員であり、その存在は無くてはならないものになっていた。
たとえ夫婦仲が壊れても、そこはポンコの居場所に他ならなくなっていた。
夫抜きで夫の家族と暮らすことは、嫁という立場ではとても苦痛に感じるように思うのですが、このポンコさんは小さなことに目くじらを立てず、妙に良い嫁を気取ることもなく、日々を飄々と暮らしているようで、それでいてお年寄りたちとの穏やかな日が、いつまでも続くものでは無く、その先にある介護生活や最期を看取るための心の準備を始めています。
福太郎さんへの愛でいっぱいだった書き始めから、だんだん福太郎さん抜きでも成立しているポンコさんの日常。
底抜けに明るいワケでも、とことん不幸を背負っているワケでも無いのだけど、読んでいる間にいろんな思いが過ぎり、考え込む場面もしばしば。
でも最後には微笑んでいる自分に驚かされました。
某P様、とても素敵な本を紹介してくれてありがとう。
この本に出会えて良かったです。
また何かあったら教えてね。
