蜂谷涼さん作品の三冊目です。(^^ゞ
 
蜂谷涼さんは、1961年小樽市生まれの作家さんです。
 
どうりで函館戦争や蝦夷地の開拓など、北海道にゆかりのある史実を多く小説に取り入れておられるはずで・・・などと今さら。(爆)
 
 
この作品は、小樽の芸鼓・五郎駒(ごろこま)が主人公の長編小説です。
 
花柳界で「置屋」というのはよく耳にするので、何となく何をする場所なのかは理解しているものの、間違っているかもしれないけど、たとえて言うなら芸能事務所のような存在と私は思っています。
 
「置屋」に所属する所謂「所属タレント」である芸鼓が、舞台である「お座敷」に出てお金を稼ぎ、「置屋」の収入=芸鼓の借金返済・・・と。
 
知識が乏しいため、この物語に出てくる「見番」の意味はよくわからず・・・要は芸鼓の労働組合のようなものなのか???くらいの認識しかありませんでした。_| ̄|○
 
芸鼓はカラダは売りませんが、「旦那」が付くと「旦那」相手に肉体関係もある訳で、「旦那」が居るというのは芸鼓にとっては心強い後ろ盾であって、身請けされる道もあるのです。
 
が、外から見れば芸鼓も娼妓も同じと見なされるのか、警察から梅毒検査を強要されることに、のちの「見番」同士の協定成立や演舞場設立問題などに発展して行くのです。
 
五郎駒にも副島という旦那が居ましたが、彼女は心の中にある「思い」に気付き、自ら苦境に身を置く道を選びます。
 
そこには幼い少女時代に彼女が引き起こしてしまった不幸な事故を背負っていることに端を発した過去の数々も関わっており、自分だけの幸せを選ぶ訳にいかなくさせていました。
 
芸鼓仲間の小て津がロシア人の恋人と海を渡り命を落としたことが、その後の五郎駒の生き様に少なからず影響を与えるのです。
 
人に優る美貌と秀でた芸を持ち、三十路を過ぎても第一線で活躍し続ける五郎駒。
 
彼女の人生は潔く華やかでもあり、哀切に満ちてもいるのでした。
 
 
『へび女房』で最初に蜂谷さんの作品を読んだときも感じたのですが、とても内容に吸い込まれるような文章で楽しませて下さるし、女性ならではの視点で女の情念を辛辣に描くところなど、とても好きな作家さんになったのですが、残念ながらどの作品もラストが甘い・・・。
 
「もう一声!」と思ってしまうラストが最大の難点でしょうか。
 
続編が欲しい作品でした。
 
・・・私が知らないだけで、あったりしてな。ヽ( ̄▽ ̄)ノ ナハハ♪
 
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