パンは食べ物ではなく、スティールドラムのこと。
スティールパンとも言い、ドラム缶で作った打楽器で、叩く場所で奏でる音が違います。
元はドラム缶だとは思えない、耳に心地よい音だったのを思い出します。
トリニダッド・トバゴの国民楽器として知られています。
「パンの鳴る海」とは、トリニダッド・トバゴの海なのです。
「緋」とは、トリニダッド・トバゴの国鳥・スカーレットアイビスという真っ赤な羽根を持つ鳥の姿のことです。
作詞家のヒロイン・マヤは、過去を持つ女性。
ここはNY。
無料新聞(フリーペーパー)の交際相手募集の欄に彼女は、自分はスティールドラムに興味があること、独身東洋女性(SAF)であること、独身白人男性(SWM)もしくは、アフリカン・アメリカン男性を求む。ノーセックス・・・等の条件を書き、連絡先を載せた。
何気なくその記事に目を通していた地下鉄の車掌グレゴリーは、彼女に興味を持ち連絡をとる。
グレゴリー(グレッグ)もまた、心に傷を持つ男だった。
電話だけで繰り返される会話で、二人は心を通わせていき、やがてカリブ海に浮かぶトリニダッド・トバゴで会う約束を交わす。
対照的な色合いを持つ二つの場所が、写真を覗き見るように色鮮やかに目に見えるような文章表現にまず圧倒されます。
NYの街で見ている色が同系色の濃淡であるなら、トリニダッド・トバゴの青い空、蒼い海、緋色の鳥、自然の緑・・・カーニバルの極彩色。
耳に聞こえてくるのは、スティールドラムの奏でる優しい音だち。
人生に疲れ、ささくれだった心も、楽園という名の似合う場所では「そんなの関係ねぇ~♪」な気分になれるような気がする。
同系色の濃淡だけになってしまった暗い色合いの過去から、マヤとグレッグの恋は熱く激しく燃え上がるスカーレットアイビスの翼のようで、明るい未来に向かっている象徴のように思えた。
文章でありながら絵画的な表現の作品。
美しいお話です。
ただ~~っ
漢字の横にカタカナのルビが、ちとうるさく感じました。
「現実的(プラクティカル)」 「掃除機(バキューム)」 「観察者(オブザーバー)」 「子亀(ベイビータートル)」 「怠け者(レイジー)」 「名字(ファーストネーム)」 「名前(ラストネーム)」 ・・・などなど・・・
「みっともない人間(アグリー)」って、ひらがなにカタカナでルビ打ってるのもあったりして。
まんま読んだらアカンのかい!?
あたしゃカタカナ苦手なの!“(*`ε´*)ノ彡☆バンバン!!
おバカさんの個人的苦情でスミマセン。(爆)
