「へび女房」 「きしりかなしき」 「雷獣」 「うらみ葛の葉」の四編。
なんだか怖そうなタイトルが並んでますが、怖くはないです。
それぞれ幕末維新期を必死に生き抜いた、女性たちの物語。
江戸幕府が倒れると共に家禄を失い、路頭に迷った幕臣と家族たちや、薩摩長州など幕府討伐軍に襲われ、家を無くし親を亡くし行く先を無くした子どもたち・・・。
どのお話も、面白いと言っては言葉が悪いかもしれませんが、動乱の時代を生き抜く女性たちの姿が印象深く、読み始めたら本を手放す間も惜しいように読みふけってしまいました。
そこに実在の人物(黒田清隆・榎本武揚・森有礼・大鳥圭介など)と史実を上手に取り入れたフィクションですが、その人となりなど興味深い言動が諸処にあり、目に見えるような躍動感がありました。
「へび女房」の”きち”が、子供の頃軽業師になりたかったので、家で座布団を足で回して蹴り上げる練習をこっそりしていたのが、思わぬところでストレス解消に役立ったところなどは面白かったです。
「きしりかなしき」は、私は中でも一番好きな作品です。
地獄と苦海・・・どちらかしか選べない選択肢。
私ならどちらを選ぶだろう?と、すごく考えました。
「雷獣」での、ヒロインが慕う相手に別の嫌な男との結婚を勧められたときのシーンなどは、ドキドキして読みました。
「うらみ葛の葉」では、不義の子を産んで正気を失った官僚夫人に起こった、悲しい出来事の数々が本当に切なくて、ヒロインが彼女に寄り添い、一生懸命尽くして何とか彼女を助けようと走り回る姿から目が離せず・・・
と・・・書きたくてウズウズしつつ、ネタばれしそうなので感想はこの辺で。(^^;)
これは面白かったです。ヽ(*^^*)ノ
