自分に何ができるのか、自分の中の可能性を探して職を転々とする・・・はっきり言ってただのフリーター・長谷川桃子は、とっても胡散臭い掃除屋のアルバイトを始める。
 
その名も「(有)クリーニングサービス宝船」。
 
普通のビル掃除などもするのだが、あまり他が請け負わないような自殺現場や事件現場などのワケあり物件の掃除もする。
 
社長は無類の犬好きで、犬にまつわる本を愛読し、犬に関わる音楽を聴き、大の字を見ると「犬」に書き直してしまうほどの変わり者。
 
責任者の大河内重男は劇団魂達(ソウルズ)に所属しており、その時の役(チョイ役ばかり)に合わせて着るモノから口振りまで私生活全部なりきり状態で過ごす変わり者。
 
事務員は桃子より年下のギャル娘・未樹。
 
そして遅刻や早退ばかりの大友翔という無表情な若者がいて、曲者揃いの会社らしいことはすぐにわかった。
 
桃子は片耳に時折難聴を起こすことがあった。
 
しかしこの仕事を始めて、桃子に難聴の症状が出ているときにワケありの現場に行くと、死者からのメッセージのようなものをキャッチするようになってしまう。
 
桃子の症状を聞いて、大河内や翔、やがて未樹や社長も協力するようになり、次々に事件を解決していくのである。
 
翔の父親の事件も解決するまでのくだりはとても面白い。
 
ヒロイン・桃子が大の時代劇ファンで、あちこちに捕り物テイストが散りばめられているのも楽しい。
 
銭形平次の投げ銭が出てきたときは笑ってしまった。
 
「大」を「犬」にしちゃう社長が、毎度犬がらみの本や音楽に夢中になるのだが、「犬神家の一族」であったり「子犬のワルツ」から「犬のおまわりさん」まで、犬なら何でもOKなところが可笑しい。
 
その都度役に合わせて七変化する大河内は憎めない胡散臭さが愉快だ。
 
あっという間に読み終えることのできる一冊です。
 
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