絵子は二十一歳の若さだが、バツイチである。
高校を卒業して短大に進んだ年の暮れ、半年前から付き合っていたロック・ミュージシャンと同棲。
まともな収入も無いロック・ミュージシャンとの結婚生活は、あっという間に終わってしまった。
絵子の亡き父親は「昭和の絵師」と呼ばれた有名人で、イラスト界の売れっ子だった。
絵子はこの父が自慢であり、誇りであり、憧れだった。
ある時、絵子は老ホームレスと出会う。
絵子の仕事は銀座の雑居ビルの地下にある「ブランキー」という酒場だ。
ママのコトエと絵子が働くこの店には、コトエの人脈によるものだろうが、出版広告関係の人が多く出入りしている。
その店に常連で大きな書店社長の蓮見という男性が連れて来たのが、その老ホームレスだったから絵子は驚く。
昼間とは違い、こざっぱりした服装で蓮見に「先生」と呼ばれている。
ある日、老ホームレスの仲間で、絵子も面識のあった「F・マイナーさん」という人が死んだ。
こんなとき世を捨てたとは言え、様々な過去を持つ人々の団結は素晴らしく、彼らの手によって「F・マイナーさん」の葬儀が執り行われる。
葬儀に参列した絵子は、そこで住職に頼まれてゴスペルを歌った坂口剛と出会い、恋をする。
結構、色っぽい話なのですが、これくらいにしておきます。(^^ゞ
絵子は亡き父の遺したイラストを大切に保管していて、ときどき「パパの虫干し」を行うのが微笑ましく、ラストにイラスト展を開き、父の自作の歌を恋人が歌うシーンは素敵過ぎる展開です。
父親が理想的な男性だと(若くして亡くなっていたりすると余計に美化されて?)娘の恋愛にまで影響してしまうものなんでしょうか。
素敵過ぎる父親が居たためしが無いので、わからないままです。
・・・・・・許せ、おとん
どうも違和感があったのが絵子という女性のキャラクターと話し言葉。
「えっ・・・こんな話し方するの!?」とギョッとしてしまいまして。(^^;)
もっと普通に喋らせても良かったんじゃないかと・・・いらん世話。(笑)
