読み終えて知ったのですが、これは『東京バンドワゴン』という第一弾が先にあっての第二弾の方でした。
 
第一弾を読んでなくてもナニも支障はありませんでしたが、登場人物が多くて、関係性のややこしいところもあり、なかなかスラスラと読めなかったですが、文体的には亡くなった「東京バンドワゴン」の店主の妻・サチが優しい口調で語りかけているので、読みやすくはありました。
 
「東京バンドワゴン」というのは、明治時代から続く古本屋で、サチの夫・勘一(79)は三代目の当主。
 
店のとなりではカフェを営んでおり、勘一・サチ夫妻の孫と孫の嫁たちが切り盛りしている。
 
掘田家は勘一と一人息子の伝説のロッカー・我南人(がなと:60)【妻・秋実は死去】、我南人の長女で未婚の母の藍子(35)、その娘の花陽(かよ:12)、我南人の長男で元大学講師、今はフリーライターをしながら店を手伝う紺(34)、その妻で元スッチーの亜美(34)、紺と亜美の息子の研人(10)、そしてなぜだか我南人が愛人の女優・池沢百合枝との間に産ませた青(26)と青の妻のすずみ(23)まで同居。
 
サザエさんちもビックリの大家族だ。
 
大家族ついでに書いちゃうが、亜美とすずみはラストの方で赤ちゃんを産みますんで、エライこっちゃです。
 
ついでに、すずみと花陽の父親は同じ人・・・って一体どこまでややこしいのだー!?
 
これにご近所さんやら、藍子に惚れてるイギリス人画家のマードックまで絡み、うっかりすると一体何の話だっけ!?となってしまう、気の抜けない一冊である。
 
それにしても子供に藍子・紺・青と濃淡つけたブルーづくめの名前を付けるセンスはなかなかです。
 
ブルーが好きなんですね、伝説のロッカーは。
 
いや、複雑な家族関係に気分がブルーだったのか?(違)
 
物語はごくごく平和な日常に、ちょこちょこ波風が立つ程度で、サザエさんのような雰囲気です。
 
あまりに登場人物が多いせいか?(笑)深く掘り下げられなかったか、故人であるサチ目線なので、見えない部分もあるのか、とにかく罪の無い平和なストーリーと言えるでしょう。
 
罪なのは、やはり人物相関図を作成しないと付いていけなくなりそうなこと?
 
これだけ個性的な登場人物が揃っていれば、まだ書こうと思えば続きはいくらでも書けそうです。
 
が、次回は紺&亜美の子のかんなと、青&すずみの子の鈴花も加わるので、さらに大変ですね。(笑)
 
覚悟が必要です。