南北戦争時代のアメリカ。
 
父は従軍し、母と、メグ、ジョー、ベス、エイミーの四姉妹が留守宅を守っている。
 
けして裕福では無いが、慈悲深い母は、自分たちよりも貧しく可哀想な人に手を差し伸べ、姉妹も上の二人は働きに出て、下の二人も出来ることをやり、それぞれが日々の”仕事”を持っている。
 
「プレゼントの無いクリスマス」と嘆くところから始まったストーリーは、それぞれの個性と思い通りにいかない現実、心ない人の意地悪や悪意などに悲しむこともある一方で、出会いによる思いもよらない幸せを得る喜び、ほんの少しの勇気や善意・・・様々な局面を迎えながら、そこから何かを学び、腹を立てたことや恥ずかしいと思った自分を反省したり、それまで味わったことのない喜びを感じたりすることで、一年後のクリスマスには四人それぞれが、めざましい成長を遂げています。
 
隣人でありながら付き合いの無かったローレンス老人と孫のローリーとの友情などは、それまで一切付き合いが無かったことを思えば、一年で大きく進歩したといえるでしょう。
 
長女メグとローリーの家庭教師・ブルック氏との恋のくだりで、初めてのことに自分の気持ちがわからないメグと、ブルック氏にメグを奪われては家族が壊れてしまうと怒ってしまうジョーの気持ちは、子供のころは理解できない部分だったので、微笑ましく読みました。
 
この本は小学5、6年生向きということですが、内容がとても濃いのに今さらながら驚きます。
 
夢見がちな女の子が読むのにちょうどいいかと思えば、そうでは無く、働くことを美徳とし、上流階級の人々に招かれても古いドレスしか持たないメグは、最初は恥ずかしいと思っていますが、自分の身に合うドレス以上に自分を美しく見せることは出来ないのだと学びます。
 
本当の幸せとは、モノやお金があれば得られるものでは無いと強く訴えています。
 
怒りにまかせて過ちを犯したエイミーを許すことの出来なかったジョーは、エイミーを失うかもしれないという恐怖に襲われたとき、初めてエイミーを許せなかった自分を恥じるのです。
 
どんな大事なものより、エイミーの命よりもかけがえのないものは無いのだということに気付くのです。
 
これを読んで、小学5、6年生の子供は何を感じるのでしょうか?
 
大人の私でも両手に溢れるほどのメッセージを受け取って、これまでの人生を深く反省している次第です。