『時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語』
 
↑↑↑こんな長い副題が付いていまして、まんま、この通りのお話です。(爆)
 
 
どこの国かはわかりません。
 
古い円形劇場の遺跡が残る町にモモという女の子が現れ、円形劇場に住み着きました。
 
人々は彼女に住む場所を整えてあげ、日々の食料を届けました。
 
その代わり、モモは人々に不思議な安らぎを与えます。
 
なぜだかわからないけど、モモには人を和ませ楽しませる力があったようです。
 
彼女と話をしたがる大人、彼女と遊びたがる子供たち・・・モモは、どこかの施設(鉄格子が窓に付いているような)から逃げ出して来たようですが、誰も彼女をそこへ帰そうとは思いませんでした。
 
しかし平和な町に灰色の男達が不穏な動きをするようになります。
 
彼らは時間泥棒。
 
人々の時間を奪い、その時間で作った葉巻をくゆらせ続けることで生きているのです。
 
時間を奪われた人々はたちまち慌ただしい日々を送ることを余儀なくされます。
 
寸暇を惜しんで働き、儲けたお金で贅沢な暮らしをすることに豊かさを感じるような毎日。
 
大人も子供ものんびりする時間なんてありません。
 
忙しい人々は、気が短くなり、少しのことで怒声をあげるようになります。
 
町はどんどん発展して行きますが、昔あったような笑い声は無くなってしまいました。
 
ふしぎな少女モモは、時間を司るマイスター・ホラと会い、彼が眠って時間を止めている間にやり遂げて欲しい仕事を頼まれます。
 
モモにしかできない仕事です。
 
モモは、マイスター・ホラの家来のカメと一緒に灰色の男達を退治に向かうのでした。
 
 
これは小学5,6年生向けのお話ですが、結構な長さと文字数です。
 
しかし非常にテンポが良くて、あっという間に読み終えました。
 
子供のときも、こんな風だったのかどうかと言うと・・・実は私はこの本は読んでいません。(爆)
 
たぶん、本の分厚さと文字の細かさで最初からギブアップしたものと思われます。
 
子供の時分に読んでいたら、時間をもっと大切に使う大人になっていたかもしれません。
 
忙しさというのは、人から余裕を取り上げます。
 
もしも灰色の男達に支配され尽くした町にモモが現れても、誰も見向きもしなかったでしょうし、食事を与えてくれることも、住処を与えてくれることも無かったでしょう。
 
モモという不思議な力を持った女の子に興味を示すことも無いままだったことでしょう。
 
大人も子供も笑顔を忘れ、仕事に勉強に追われ、いつもいつも忙しい忙しいと走り回って、少しでも邪魔が入り時間を無駄にすると怒り出す・・・あれ・・・?どこかにあるぞ、そんな国。(笑)
 
我々は今まさに灰色の男達に時間を奪われているのかもしれません。
 
どんなに仕事や勉強に忙殺される日々を送っていても、心を和ませる時間や楽しませる時間、心から笑える時間を持つことがどれほど大切なことかと教えられたような気がします。