鈴原家を出た奈緒(松雪泰子さん)と継美=怜南(芦田愛菜さん)は一旦ホテルに身を寄せる。
 
が、そこに駿輔(山本耕史さん)から事情を聞いた葉菜(田中裕子さん)が現れ「私があなたたちを守ります」と言う。
 
最初はその申し出を素直に受け入れられない奈緒も「一人より二人の方が安心でしょう。私はあなたたちの味方です」という言葉を聞いて、怜南を連れて葉菜の家にかくまってもらうことにする。
 
その頃、怜南の実母・仁美が駿輔を訪ねて来る。
 
怜南を迎えに来たと言うのだ。
 
虐待の疑いと怜南の遺体が見つからないことで、警察に疑いをかけられている仁美が怜南を連れに来たのではないかと疑う駿輔。
 
仁美は怜南を探しに出かける。
 
そこへ怜南の母・仁美(尾野真千子さん)がやってくる。
 
二階でゼリーを食べていた怜南は押入の中に隠れて息を潜めていた。
 
 
幼いながらも母親との思い出を母親の記憶がある怜南は仁美のそばに出ていく。
 
 
仁美にもかつて幸せな日々があった。
 
夫と生まれたばかりの怜南。
 
「虐待なんて考えられない」そう言っていた頃もあった。
 
しかし夫が亡くなり、生活の全てが仁美の肩に掛かってきた。
 
給料が良ければ、どんな辛い仕事もこなしていた。
 
友達からの誘いも断り、怜南のため、生活のために自分の全てを犠牲にしていた。
 
この頃、仁美は確かに良き母親に違いなかった。
 
仕事に明け暮れ、よその子供とつい比べてしまう日々・・・少しずつ仁美の心が病んでいく。
 
怜南さえいなければ・・・そんな思いが頭をかすめたとき、仁美は怜南を海に置き去りにしようとしてしまうのだった。
 
そんなときに、仁美は真人(綾野剛さん)に出会う。
 
真人に誘われ旅行に行くことになるが、真人が嫌がり、怜南を一人置き去りにして出かけてしまう。
 
「ママが幸せなら怜南も嬉しいよね?」電話で問いかける仁美。
 
「うん」と元気に答える怜南がいじらしく、仁美は涙を流すのだった。
 
ある日、仁美が仕事から帰って来ると怜南の姿が無い。
 
怜南は裸同然の恰好で押入に閉じこめられていたのだ。
 
それだけではなく、指を骨折してしまう。
 
あきらかに真人の責任だが、怜南は「滑り台で転んだ」とウソをつき、仁美も「これからは気を付けなさい」と釘を指すのだった。
 
近所の人や警察までが道木家に目を付けるようになる。
 
そんなとき、珍しく仲良くトランプをしている真人と怜南。
 
しかし仁美は見つけてしまう。
 
怜南の首にくっきりと付いた青アザを。
 
「助けて・・・」
 
怜南の言葉を聞いた仁美は、怜南を抱いて夜の町へ飛び出して行く。
 
歩道橋の上、怜南を抱いて飛び降りようとする仁美だったが、どうしても飛び降りることができなかった。
 
その頃から仁美は変わっていく。
 
学校から帰った怜南に500円を渡し、表に出し、テレビで流れる虐待事件を見ても笑ってしまうように。
 
 
継美は仁美に「怜南は天国に行ったんだよ」と言うのだった。
 
「ママのこと好きでも嫌いでもないよ。もうママじゃないからね」
 
こんな言葉を言っても微笑もうとする継美に奈緒は「泣いていいのよ」と抱きしめる。
 
継美はこらえきれずに泣きじゃくるのだった。
 
 
仁美のもとに訪れた奈緒は、仁美に怜南を連れて帰るように説得する。
 
しかし仁美は「好きじゃないって言われたんです。そんな子は死んだのと同じ」と拒否。
 
奈緒は「私、あの子の母になります!」と宣言する、
 
駿輔にお金を借りて室蘭に帰って行く。
 
 
一方、芽衣(酒井若菜さん)は婚約者に電話をかけるが取り次いでもらえない。
 
 
まだ離縁届を出すことのできない籐子(高畑淳子さん)。
 
果歩(倉科カナさん)に奈緒が散髪屋に身を寄せていると聞いた籐子は「奈緒は出て行ったんじゃない、帰ったんだ」と言うのだった。
 
 
自分の命を引き換えに保険金を残そうとする葉菜は、診断書を偽造することは犯罪だと主治医の珠美に言われる。
 
そうまでしてなぜお金を残したいのかとの問いに、「届けたいものと持ち去りたいものがあるのだ」と話す。
 
 
室蘭に戻った仁美のもとへ警察がやってくる。
 
継美の行方不明事件について近所で良からぬ噂があるのだと言うのだ。
 
仁美は思わず「怜南は死んでません。誘拐されたんです!」と言うのだった。
 
 
 
今回は仁美の過去が中心のお話でしたね。
 
仁美も最初からあんな風では無かった・・・怜南が愛しくてたまらない、優しい母親だったんですね。
 
何が彼女を狂わせてしまったのか・・・。
 
一つは生活を守るための重労働。
 
彼女は父親がいない怜南に肩身の狭い思いをさせちゃいけない、と自分に枷を付けました。
 
小さな怜南に寂しい思いをさせないように、大切に大切に育てていました。
 
しかし、その躾についてママ友からダメ出しを喰らってしまいます。
 
デコピンされて育ったママ友の子供がまっとうに育っているのかどうかは知りませんが、綺麗に片付いた部屋、とても小さな子供が居るとは思えない家を見て、「しつけるにはデコピン」なんて言葉を言われたら、仁美も「ああ、そうなのか」と自分に足りないものはそれなのだと思っても仕方なかったのでしょう。
 
デコピンして、眠った怜南に「ごめんね」と言ったところで、デコピンされた怜南の心の傷は癒えないんですけどね。
 
あと、近くに怜南を預かってくれる保育園が無かったこと。
 
怜南が可愛い・・・怜南が愛しい・・・けれど、仁美の心はどんどん荒んでいってしまいました。
 
真人に出会って、仁美は自分の中の「女」に目覚めたのでしょう。
 
「母親」に疲れ果てていたとき、真人は仁美を女として見てくれたのでしょう。
 
真人が怜南にひどい虐待を行っていることも知っていながら、最初は抗議していたものの、仁美の中の「女」の部分が真人を失いたくないと強く思ってしまったのでしょう。
 
そしてそのうちに、怜南が疎ましくなって行ってしまった・・・。
 
仁美の気持ちがまるで理解できない訳ではありません。
 
ただ、それをやるかやらないかじゃないかと思うんです。
 
ゴミ袋に入れて捨てたときの気持ちは到底理解できません。
 
子供を守るのは大人の役目です。
 
子供はどんな親であろうと、親を慕っているものです。
 
怜南の「もうママじゃないからね」の言葉には涙が出ました。
 
どんなに辛い言葉だったでしょうね。