中学一年生のあさぎは、母の再婚をきっかけに中学校から新しい学校に通い始める。
 
母は妊娠中で、新しく父となった冬木さんとは、なかなか馴染めない。
 
離婚したあさぎの実父とはときどき会えるが、父はもう別の道を歩き始めていた。
 
母好みの新築の家、知らない男性と赤ちゃん・・・あさぎは、家族の中に自分の居場所を見つけられない。
 
学校でも同じで、新しい友人に馴染めないままでいる。
 
そんなあさぎの唯一の心の支えは、郵便局の中村さん。
 
口を聞いたことも無いが、その優しげな雰囲気にあさぎは心ときめいていた。
 
しかし、中村は心に深い闇を抱える青年だった。
 
 
「小説すばる新人賞」を受賞した作品です。
 
まだ新作なので、あまり内容を語るのはどうかと思うので、かなり簡単に書いてしまいました。(^^;)
 
あさぎは小学生のときに両親の離婚を経験します。
 
父にも精神的に追い詰められた経験があり、あさぎには理解しきれないオトナの事情がありました。
 
そして母の新しい恋。
 
最初は嫌悪感を示したため、あさぎの思いを受け入れた母だったが、精神的に参ってしまい入院。
 
自分の責任と思ったあさぎは母の再婚を認めてしまう・・・。
 
子供って、親には嫌われたくないんですよね。
 
だから自分が我慢しても親の言うことを聞こうとするし、それでも嫌われてると思ってしまうと、自分の悪いところを一生懸命探してしまう。
 
オトナはそんな子供心をどこかで操ってはいないか?
 
利用してはいないか?
 
そんなことを考えさせられました。
 
とっても素敵な作品で、最後の方ではついつい涙してしまいました。
 
ぜひ読んでみてくださいませ。