逃げて!逃げて!!早く逃げて!!!
 
思わず声に出してしまいそうでした・・・。
 
 
島での暮らしで、いくつかの季節を過ごした希和子(檀れいさん)と薫(小林星蘭さん)。
 
薫は島の言葉を話し、日に焼け、すっかり島の子供になっていた。
 
希和子に思いを寄せる文治(岸谷五朗さん)は、いつまでも他人行儀な希和子の気持ちが知りたいと言うが、「私といても将来良いことなんて何もない」と言って、希和子は文治の思いを拒絶する。
 
文治は希和子と薫を大事にすると言ってくれる。
 
島で生まれ育ち、文治のような男性と結婚して幸せになる人生もあったかもしれないと希和子は思う。
 
けれど薫と出会わない人生など、希和子にはもう考えられなかった。
 
薫がいる人生といない人生。
 
希和子はやっぱり薫のいる人生を選ぶのだと。
 
そんなとき、広島で働いていた沢田久美(坂井真紀さん)が、母・昌江(吉行和子さん)から希和子が来ていると聞き、島に帰郷する。
 
「あなたのおかげ」と昌江と感謝される希和子。
 
久美はすぐに文治と希和子のことに気付き、二人を後押しする。
 
ある日、夏祭りのときの希和子と薫の写真が新聞に載ってしまう。
 
逃げなければ!と荷物をまとめ始める希和子に、薫は「どこにも行きたくない」と泣いて反抗する。
 
新聞の写真を見て顔色を変えた希和子に気付いていた文治が様子を見に来る。
 
「あんたが何をした人でも構わない。どこにも行くな」と希和子を抱きしめる文治。
 
希和子は薫との日々が、もうそんなに長くは続かないことを予感しつつも、残された時間を精一杯薫との思い出作りに使おうと決意する。
 
同じ新聞の写真を見ながら「この浴衣私のだよね?」と昌江に話しかける久美。
 
昌江が薫に亮太(久美の息子)の姿を見ていることを知ると、久美は思わず「私だって辛抱した!でもどうしても辛抱できなくなって亮太を連れて戻って来たとき、お母さんは味方してくれなかった!」と怒鳴りつける。
 
久美は昌江が、亮太のために買っておいた洋服を薫にあげたことにもショックを受けていた。
 
もう亮太が久美の元に帰って来ることはないと、先に諦めているような気がして悲しかったのだ。
 
一生懸命働いて、たくさんお金を稼ぐようになれば、また亮太の親権を取り戻せるかもしれない。
 
一縷の望みを捨てきれない久美の思いが昌江に伝わらないのが悔しかったのだ。
 
希和子に「私は今夜のフェリーでここを出ていくけど、京子(希和子の偽名)さんは私の代わりにここにいて」と言う久美。
 
希和子は久美の手を引いて、工場の出入り口の上に貼り付けた一枚の紙を指さす。
 
『まつとしきかば いまかへりこむ』
 
その文字に久美の帰りを待って祈りを捧げる昌江のことを話し「私に久美さんの代わりが出来る訳がない」と言う。
 
しかし久美は翌日島を出ていくことに決めていた。
 
出戻りの娘は小さな島では生きにくい、もう一度東京に出てやり直す。
 
久美はそう決心していた。
 
そして「もう少しだけここにいてあげて欲しい」と希和子に言う。
 
久美は誤解していた。
 
希和子は別れた夫に追われているから、新聞などにデカデカと写真が載って居場所を突き止められることを怖れているのだと。
 
翌日、フェリー乗り場で別れを告げる久美、そして昌江と希和子、薫。
 
照れ屋の久美は最後まで昌江に素っ気ない態度しかとれないが、島から離れて行くフェリーの上から「お母さん、ありがとう」と叫ぶのだった。
 
希和子にはわかっていた。
 
この別れが、これから始まる様々な別れの始まりなのだと。
 
一体いくつの別れを繰り返せば、神様は私を許してくれるのだろう・・・。
 
覚悟はできているはずだった。
 
けれど、もう少し・・・もう一日・・・希和子は薫の顔を愛おしく見つめながら願い続けるしかなかった。
 
ある朝、いつもどおりの朝のはずだった。
 
電話が掛かってきた。
 
昌江からだった。
 
「今日、お店休んでいいから」
 
いきなりの言葉に意味がわからず問い返す希和子に「わからん子やね。逃げるんや!」と昌江が声を殺して叫ぶ。
 
いつか来る日、わかっていた・・・覚悟していた。
 
でも希和子は逃げた。
 
咄嗟に薫の手を取って走って走って走って・・・ただ走って逃げるしかなかった。
 
フェリーに乗り込む前に、お腹を空かせた薫にパンを買おうとしたとき、窓の外に立った文治が必死の形相で希和子に合図を送る。
 
「逃げろ!」
 
それを察した希和子は薫の手を取って表に飛び出した。
 
しかし、数人の刑事たちが希和子を取り押さえ、女性刑事が薫を抱きかかえた。
 
大きな柵に阻まれて、近づけない文治はただ見つめているしかなかった。
 
「薫ーっ!薫ーっ!」
 
「お母さん!お母さん!」
 
泣いて叫んでどんなに手を伸ばしても、もう手が届かない二人。
 
「待って!!もう少し待って!!その子はまだ・・・」
 
成長した薫(=秋山恵理菜<北乃きいさん)は、母(希和子)と引き離された記憶を残していた。
 
あのとき握っていた希和子の手の温もりも覚えていた。
 
なのにどうしても思い出せないのは、希和子が最後に叫んだ言葉。
 
希和子は最後に何を叫んだのだろう・・・・。
 
 
 
いつか来るとは思ってましたが、とうとう希和子と薫の逃避行の日々は終わってしまいました。
 
希和子の犯したことは間違った行為だったけれど、残りの人生を全部捧げても希和子は薫との人生を選んだのですね。
 
文治と心が通い合い、愛を感じたときも、自分の行いを後悔はしませんでした。
 
別の愛ではなく、母として薫と生きる束の間の時間が希和子の幸せだったのです。
 
間違った形で掴んだ幸せだったけれど、希和子にとっては本物の幸せが薫の存在そのものだったのでしょう。
 
希和子が愛した男が秋山(津田寛治さん)でなかったら、希和子はきっともっと幸せになっただろうにと何度も思いましたが、秋山との恋が無ければ薫の存在も無かったわけで、希和子にとっては秋山との悲しい恋も薫と出会う為の大切な出来事になったのですね。
 
不器用だなと思うけれど、そういう生き方しかできなかったのでしょう。
 
最後、希和子が犯罪者だとわかっても逃がそうとした昌江や文治の気持ちが、テレビのこちら側の人間にはすごくよくわかってしまいました。
 
そういう強い味方ができるような、希和子は本当に善良な女性なのだと思います。
 
ただ・・・どこかでボタンを掛け間違ってしまっただけで・・・。
 
 
さて、いよいよ来週は最終回ですね。
 
やはり親元に帰った薫=恵理菜は、暗い影を引きずって成長することになったようです。
 
大好きな母親と無理やり引き離され、大好きな人たちのいる島からいきなり知らない家に連れて行かれてしまい、見知らぬ大人がいきなり両親になる・・・。
 
それがたとえ実の両親であり、恵理菜の帰るべき場所であったとしても、赤ちゃんのころから物心つく五歳までの記憶を全部消し去ることは無理だし、五歳の子供の身の上に起こった事件を理解するにはあまりにも幼すぎます。
 
希和子と別れた日から笑顔が消えた恵理菜は、どんな風に成長してきたのでしょう?
 
母親(板谷由夏さん)が一番嫌いな「あの女=希和子」と同じように、妻子ある人の子供をお腹に宿してしまった恵理菜は、自分の恋にどういう風に決着をつけるのでしょう?
 
希和子が最後に叫んだ言葉を思い出すことはできるのでしょうか?
 
そして希和子は、あれからどうなったのでしょうか?
 
最後までしっかり見届けたいと思っています。
 
終わったら、原作も読んでみようかな。
 
このドラマが終わったらしばらく脱力してしまいそう・・・それくらいハマって見ているドラマです。(笑)