久しぶりの更新です。
今日は、松たか子さんが演じた奥沢涼子ちゃんについて語ります。

涼子はたぶん、そこそこ良いトコのお嬢さんで、とっても上品な家庭で、大きな荒波に揉まれることも無く、すくすくと育ってきた方なんだろうなと私は思いました。
広末涼子さんが演じた貴子のように、ピアノ!ピアノ!ピアノ!というガッチガチの家庭でも無く、お金に困るようなことも無く、両親が不仲ということも無く、成績や恋で悩むことも無く。
ピアノは才能があるのだから、早くから持て囃されていたでしょうし、それが自信に繋がったでしょうから、いじめなんかにも遭ったことは無いでしょうね。
容姿も良いので、そこそこモテてはいたでしょうけど、本人に自覚があったかどうかと言うと、無いでしょうね。←きっぱり
告白っていうのをさせないタイプじゃないかな。
そういう雰囲気を作らない・・・隙が無いと言うよりもガードが堅い。
彼女自身は無意識であって、無防備なのに相手にそう思わせてしまう。
結構トゲのある分析をしてしまいましたか。
でも彼女、このドラマの出演者の中では一番手に負えないタチの悪いタイプの女の子だと思うんです。
確かに、降ったばかりの誰の足跡も付いていない雪のようで、汚れを知らないオトメで、生まれたての白鳥のような存在ではあります。
そして性格が悪い!という訳でも無い。
稲森いずみさん演じる桃子の方がよほど性格は悪く見えてしまいます。
損なタイプだと思います。
だからでしょうか・・・みんなが涼子ちゃんには優しいんですよね。
涼子はどこか特別な存在で、涼子には誰も怒らないし、甘えないし、反発しないし、ケンカもしない。
真二(竹野内豊さん)とだってケンカと言うほどのケンカはしていない。
るうちゃん(りょうさん)とは、エッチもするしケンカも派手にするのに、涼子には手も足も出ない。
アニマル真二がせいぜいフレンチ・キッス止まり。
付き合い始めてもお泊まり無し。
るうちゃんに「普通は一緒にいるでしょ」と言われても、「そういうキャラじゃない」と庇ってもらえちゃう。
瀬名(木村拓哉さん)は、何をしても涼子ちゃんなら可愛いと思ってしまう。
映画デートのとき、瀬名とことごとく「面白いツボ」が違っていたけれど、涼子は意見を曲げないのに瀬名が涼子の意見に合わせちゃう。
そのことを南(山口智子さん)に話すときも、南になら「そこは違うでしょ」って言えるけど、涼子ちゃんには言えないって言ってる。
南が「面白くないとこで相手が笑ってると腹立つよね!」と言っても、瀬名くんは「涼子ちゃんだから腹立たない」と言う。
女から見ると、超羨ましい「VIP待遇の女」って気がしません?
そういう女が果たして幸せかどうかは、さておき。
相手に気を遣わせてしまうのに、気を遣ってもらっていることに気付かない鈍感さ・・・なんだよね。
けど、涼子自身はすごく自己主張するし、自分の意見を持っていて曲げないとこがあるし、融通きかないし、恋愛のいろはもわかってない。
良く言えば純情無垢、清廉潔白。
悪く言うと、空気の読めないわがまま娘。
真二を好きになったのは、真二が涼子の知らない世界の男で、ピアノというアイテムで少しだけ繋がっているから・・・じゃないかな。<そこが安心感で
見ていて、まだ「恋に恋するオトメ」でしか無かったように思えます。
初めて積極的に家まで送ってもらって、アニマル真二の勢いに押されて部屋にまで上げてしまって、初めてのキスを経験して・・・・あ~もう、気持ちが止まらない~!!←桃ちゃん風
そんな感じのジェットコースター型な恋。
でも相手には、るうちゃんという恋人がいるから諦めなきゃいけない。
そこに自分を思ってくれる瀬名先輩登場・・・・いや、ずっと登場してたのに気付かなかっただけで。
デートにも応じるし、「キスしよう」って言われたら目を閉じるけど、戸惑う瀬名がじれったい。
「いくじなし!」なんて酷いセリフを言っちゃうんだな・・・。
悪気は無いんだろうけど、素直な気持ちがボロッと出たんだろうけど、言われた方がどんなに傷つくかまでは読みとれない。
南は瀬名に「涼子ちゃん、瀬名くんにキスして欲しかったんだよ」って言って慰めてあげてたけど、あそこでアニマルになれない瀬名が涼子には「いくじなし」だったんだよね。
あれだけ目の前で露骨に真二のことを言われて(名前を出さないだけで)、しかも「あなたは自分の思ったことを言葉にできていいね」みたいなことを言われたんじゃ、瀬名も躊躇するわな。
瀬名じゃなくてもアニマルにはなれませんぜ、おまいさん。←誰?
「ここにいろ。オレのそばにいろ。もうどこにも行くな!」
このセリフ、南や桃子にとってはクッサ~~イかもしれないけど、恋愛免疫の無い涼子には響いてしまった。
だから「先輩のそばにいます!」って言っちゃった。
好きでも無いのに付き合うって言っちゃったんじゃないんだよね。
涼子のそのときの気持ちは瀬名くんに対して萌え~だったんだと思う。
その瞬間は。
でもデートしてもイマイチ盛り上がらないし、会話も弾まない。
また会おうねって約束しても、「別れてもすぐまた会いたい」とか「いつもいつも一緒にいたい」とかまで気持ちが盛り上がっていないから、コンクールの練習を優先させてしまって「暇になったら電話します」なんて言葉を平気で言ってしまう。
振り返る・・・振り返らない・・・振り返る・・・・振り返らない・・・振り返らない・・・・
涼子を見送りながら、涼子の背を見つめながら花占いみたいに呟く瀬名。
涼子は振り返らない。
瀬名と別れたときから、気持ちはまっすぐに自分の世界に向かってしまう。
そこは恋愛経験豊富なアニマル真二は見抜いてたのかな。
涼子がイライラして「コンクールやめろって言ったらやめてました」って言ったとき、「そんな思ってもないこと言うなよ!」って一度だけ涼子に対して声を荒げましたよね。
その通り、涼子は好きで好きで、会いたくて会いたくてたまらないほど恋してた真二よりもピアノを選んでしまう。
ピアノを選んだんじゃなくて・・・苦しい恋から逃げちゃった。
綺麗な終わり方で、本人は満足のいく恋をしたような気分になったかもしれないけど、本当の恋の終わりはそんなにあっさりしたものじゃない。
結局、真二との恋も涼子だけの自己陶酔と自己満足で終わってしまった感あり。
瀬名を振って、傷つけてしまったことで落ちこんで、コンクールでミスをしたときの涼子の方がうんと人間らしい心情だったんだろうな、ホントに良い子なんだろうなって思えました。
そんな涼子だけど、ラストの方では瀬名に振り返って手を振ることもできたし、瀬名や真二と付き合った少しの期間で、彼女自身少しだけオトナになったのかもしれませんね。
振った相手が瀬名だったから、あんな風に仲直り(?)できて、恋愛相談までする仲に戻れたけど、なかなかそう上手くはいかないよ、人間って。
まだデビューして間もない、松たか子さん自身梨園のお嬢様なので、その辺の奥ゆかしさや上品さ、そして周りに気を遣わせるタイプのわがまま女を嫌味無く可愛らしく演じてました。
あの可愛らしさに、男どもはあっさり騙されるのでしょうね。(笑)
かなり毒を吐いてしまいました。(* ̄∇ ̄*)>