「あした咲く蕾」「雨つぶ通信」「カンカン軒怪異譚」「空のひと」「虹とのら犬」「湯呑の月」「花、散ったあと」の短編七作品。
 
どれも主人公が遠い過去を振り返り、そこで起こった少し霊的な現象を語っていくストーリー。
 
 
私が好きだったのは「あした咲く蕾」。
 
主人公の叔母は不思議な力を持っていて、自分の命を人に分けてあげることができる。
 
枯れかけた花を生き返らせるようなことができてしまうのだ。
 
しかしそれは、単に命を分けてあげているのではなく、分けた分だけ叔母の寿命が短くなってしまうのだ。
 
もしも、彼女が結婚をして家庭を持ったとき、愛する家族にもしものことが起こったら、心優しい彼女のことだから一瞬にして自分の命を引き換えに愛する人を助けてしまうだろう。
 
だから叔母は結婚を申し込まれている男性から離れて、大阪から東京の姉のところへやって来た。
 
子供たちを喜ばせるために、ちょっとだけ力を使って枯れた朝顔を生き返らせたのだが、その行為が叔母の寿命を縮めることになるのだと聞かされた主人公は幼いながらも動揺する。
 
しかし叔母は、結婚を申し込んでいた男と結婚するために大阪に帰ってしまう。
 
そしてある日突然、命を落としてしまう。
 
たまたま通りかかった場所で事故に遭った見ず知らずの子供に、自分の命をすべてあげてしまったのだ・・・・。
 
 
もしも大切な人が大けがをしたり大病をしたりで苦しんでいたら「代わってあげたい」と思うだろうと私も思う。
 
それが我が子であったりしたら尚更そう思うだろう。
 
痛みや苦しみを代わってあげることで、大切な人が苦しまずに済むのなら、代わってあげてもいいと思う。
 
もし「死ぬかもしれない病気やけが」だったとしても同じだと思う。
 
けれど本当に代わってあげることができちゃったら?
 
この物語で不思議な力を持つ叔母・美知恵は、愛する人でも大切な人でも何でもない、行きずりの見知らぬ子供にその命をあげてしまった。
 
優しい人だから、たとえ見知らぬ子供でも見捨てることができなかった。
 
たとえ自分の命を引き換えにしても・・・・。
 
そこまでできるかな~?と思うと自信が無い。
 
もっと大事な場面のために出し惜しんでしまうか、見て見ぬふりをしてしまうかもしれない。
 
もしかしたら私たちも知らないだけで、少しずつ寿命を何かに分けてるかもしれないけど、知らない方が幸せだなと思う。
 
・・・・そういえば、こないだ息子の成績表見て寿命が縮んだばっかりでした。(爆)
 
(∴`┏ω┓´)/コラァー!! 勉強せんか~~~いっ!!
 
カアチャンは、やしゃごの顔まで見るんだからな~~~っ!!←命汚い母(爆)