お笑い芸人、千原兄弟の弟、千原ジュニアの自伝的小説。
十四歳の浩史は学校にも行かず、どこに行くにもパジャマ姿、そしてとうとう部屋に鍵を付けてしまった。
引きこもり中学生の完成。
朝、両親や妹が出かけたら部屋から出てきて一人で食事。
食事には母がこっそり精神安定剤を混ぜている。
だからあまり食べたくない。
それからお風呂に入ってタバコを吸う。
けして成績の悪い子じゃなかった。
黒い制服の中学と青い制服の中学、浩史は私立の青い制服の中学生になった。
母親も喜んだ。
でも浩史は青い制服を着た中学校で、青い中学生にはなれなかった。
学校になじめなかった。
小学生のころから大人が「あの子と遊んじゃダメ」と言うから友達がいなくなった。
なぜだかわからないけど、いやがられてた。
浩史は頭がおかしいわけじゃない。
自分がどうしたいのか、どうしたらいいのか、一人で考えたかっただけ。
親はどこかの全寮制の学校にやろうとしたり、病院に入れようかと考えたりしているけれど、そんなとこには行きたくない。
もう少し待って・・・自分で答えを探すから・・・。
千原ジュニア君は結局高校中退(二ヶ月で退学したそうな)して、兄のせいじさんと一緒にお笑いの道に入りました。
「これだ!」と思える道に出会えた訳ですよね。
大きな病気や怪我で命の危機にも遭いながら、けして順風満帆な芸人生活では無かったと思いますが、ご活躍ぶりは周知のとおり。
十四歳って多感なとしごろですよね。
かくいうワタクシも十四歳のころと言えば、けしてよい子ちゃんでも優等生でもありませんでした。
けれどいつもどこか哲学的なことを考えていたように思います。
だいたいの学生さんが同じ制服に身を包み、人と同じようにやっていれば、それが普通でマジメでよい子だと言われてしまいます。
でもね、同じ制服の中にいるのは別々の個性。
みんな同じ顔でみんな同じことしか考えていなくて、みんな同じ人間だったら気持ち悪いでしょ。
十四歳はカラダも大人になっている途中。
心も子どもじゃないけど大人でもない。
勉強だってまだまだ半人前にしかできないし。
すべてが中途半端で未成熟。
だけどちゃんと考えてる。
ちょっと変わった考えをしてるからって「おかしな子」とか「変わった子」とか「不良」とか勝手な名前で呼ばないで欲しい。
ただ「発展途上」なだけ。
いろいろ考えて、間違うこともあっても、絶望しても、積み重ねた思いの上に立っている一人の人間は「おかしく」もないし「変わって」もいないし「不良」でもない。
十代は「発展途上年」。
いっぱい壁にぶち当たれ!
壁に穴ぽこ開けてやれ!!
悩め、若者!
人生に無駄な回り道は無いと思うよ。
なんてなことを思えた一冊でした。