とても衝撃的なタイトルと表紙です。
スアドという名前も偽名です。
なぜなら、彼女の命に関わるからです。

中東シスヨルダンの小さな村で生まれたスアドは、17歳のときに初めて恋をして妊娠してしまいました。
村では結婚前の娘が妊娠などもってのほかであり、異性と目を合わせたり言葉を交わしたりすることも禁じられていて、もしもそのようなことがあれば、家族の手でその娘を葬り去るという掟があったのです。

スアドは義理の兄から何らかの液体を浴びせられた挙げ句、火をつけられ、生きながら火あぶりにされ、重度の火傷を負いながら奇跡的に一命を取り留めたのでした。

病院に運ばれはしたものの、死を待つだけの状態。
何の治療も施されず、陣痛の痛みにも気付かぬうちに出産。
子供はどこかに連れ去られてしまいました。

地球上のある国では「名誉の殺人」と称して、当然のように女性が身内の手に掛かって命を落としているという事実も、スアドが貴重な生存者として、勇気ある告発者とならなければ、誰に知られることもなく続いていくことだったのでしょう。

そういう地域の女性達は、その因習を当たり前と受け止め、何も知らないまま残虐な方法で命を落としていくのです。

偽名であれ何であれ、この本を発表したスアドの勇気は素晴らしいです。

またこのような人々を救うための団体があり、実際にスアドやスアドの産んだ子供の命を助けた人がいることに感激しました。