お花見で鍋を作ってくれた頃から、あっという間であり、闘病は壮絶でもあり。
信じられない思いだけど、泣いても泣いても、ただただ悲しい。
この仕事になってから、どんなときでも私の心のオアシスはGOHANで、たまに相談をすれば必ず答えを返して導いてくれた。
優しさと思いやりと気遣いに溢れ、闘病しながらも常に残される人のことを心配していた。
どんなに無念で心残りだったろう。
たくさんの後悔が残っただろう。
最期は少しは納得できたのだろうか。
気丈に振る舞う相方を気遣い、泣いてもいいんだよ。と自分以外に言っていた。
どうにもならないことなんか、斉藤さんにはないと信じていた。
どんどん悪くなる病にも、きっと勝てると思っていた。
まだ48歳。
もうすぐ、毎年変わらずお祝いしていた誕生日が来るのに。
ぜんぜん休まないから、病気になったときくらい、少しはゆっくりすればいいのに、闘病すら休まなかった。
病院にはたくさんの仲間が集い、同じくやり場のない悲しみのみ。
よく頑張ったとみんな言っていた。
お店だって、新しくしたばっかりなんだぞ。
斉藤さんが使いやすいように、キッチンだって広くしたし、几帳面だから何十年やったってピカピカのままになるはずだったんだよ。
壁紙や、椅子やテーブルや、みんな好みのもので作ったのに。
名医も神様も勝てないことがあるなんて思えなかった。
もう何ヶ月もカウンターの中の斉藤さんは見てなかったけど、目を閉じなくてもあの場所にいる斉藤さんはそのまま。
ばたりん、仕事?遅かったねえ。
おなかすいたーーー!
今日は何麺?
焼きそばー!
キャベツだけでいいの?
うん。お願いしまーす!
永遠だと思ってた。
来年のお花見の頃には走れるようになってたいんだ。
そんなことが叶わないなんて、思わなかった。
ただただ悲しい。