心豊かに | 深夜のしゃべりたい欲を満たすひとりごと

深夜のしゃべりたい欲を満たすひとりごと

記憶力皆無の脳を助けるための日記

お正月は久々に実家に帰ってきた。
引け目があるわけじゃないけど、家を出てしまうとなかなか実家には帰らない。
忙しいといっても実家までは30分弱。本当はとても近い。
逃げている理由もなんとなく自分ではわかっている。
普段、忘れていたいことがあるのだ。
それは老人ホームに入っているおばあちゃんのこと。
みんなボケてしまって何もわからないというけど、本当は何もかもわかっていて悲しんでいる。

元日に一年ぶりに会いにいったおばあちゃんは珍しく起きていて、私が行ったこともわかっている。
きっと一年ぶりにしか行ってないこともわかっている。

忙しかった母に変わって私たち姉妹を育ててくれて、大人になってちっとも家に帰らない私を叱ってくれたおばあちゃん。
一緒に旅行に行ったり、水泳教えてくれたり、勉強やらピアノやら習字やら日舞やら、何もモノにならなかったけど熱心に習い事をさせてくれたのもおばあちゃん。
母の気持ちを思えば、おばあちゃんはボケてしまって老人ホームで介護されて何もわからないことにしておくのが家族としての思いやりなんだと思う。
でも実家に帰り、お仏壇に手を合わせればご先祖様に厳しく叱られている気がして自分に嘘はつけない。
まして、おばあちゃんのいる老人ホームに行ったら…

母と一緒だったからなるべく明るく、私も母と同じようにおばあちゃんはボケてるって信じてるフリをしたかったけど無理で。
涙が自然に溢れて止まらない。
申し訳なくて、何もできなくて、かなしくてかなしくて。小学生のときくらいまで時を戻したいとか、もう、有り得ない現実逃避をするしかない。

おばあちゃんはきっと全部わかっているけど、私を責めるような目では見ないし。それも辛い。

生きていてくれているのに死を待たれている。
なにひとつ悪いことなんて一度もしていないのに。いいことばかりをしてくれて、私を育てて見守ってくれているのに。

母はもっと辛いだろうと思う。
実の息子の父は決しておばあちゃんの部屋に入らない。

忙しいのを理由にこんな現実逃避をしながら成り立っている自分の日常に気付いたら、今の私の生活は成り立たない。
もっと私がすべきことはあるから。
だから実家に帰りたくないのだ。

なんとなく一年間避けていたことが身にしみて、また逃げるように帰ってきてしまった。
予定なんかないのに、もういられなかった。

解決策はない。私には逃げることと嘆くことしかできない。ひどい人間だと思う。情けなく思う。でも解決策はない。
本当に申し訳ない。