――8月8日、霧島の空は動かなかった。
雲は流れず、ただその地を覆い続け、500ミリを超える雨が降り注いだ。
1か月前、誰も知らぬ人物がこう告げていた――「九州から異変が始まる。それは水と深く関係している」。
神々の降り立った地、高千穂峰のふもと。火と水が共存する霊域に、なぜこれほどの豪雨が集中したのか。
地震、津波警報、群発地震…そして不動の雨雲。
偶然の連鎖か、それとも誰かが描いた精密なシナリオか。
古代神話の警告、量子物理学の「水の記憶」、そして意識と現実を結ぶ見えざる糸。
霧島を襲ったこの雨は、破壊か、浄化か、それとも私たちへの問いかけなのか。
次に語るのは――この豪雨の背後で静かに脈打っていた、目に見えぬ力の正体である。