その書物を最後まで読んだ者は、必ず沈黙する。
1912年、イタリアで発見された「ヴォイニッチ手稿」。そこに刻まれていたのは、地球上のどの言語とも一致しない奇妙な文字、そして現実には存在しないはずの植物と天体の図。
600年以上もの間、解読不能とされたこの書物に、2024年、ついに人工知能が一部の扉をこじ開けた。
現れたのは、フィボナッチ数列や円周率を織り込んだ数学的暗号、500年後に発見される植物、望遠鏡でしか見えない星図…そして「我々は闇から見ている」という不気味な警告。
さらに「水が火に変わる時、世界は終わる」「星の間を渡るものは再び来る」という予言が、まるで人類の未来を見透かすかのように並んでいた。
だが、最終ページに記された一文こそがすべてを覆す――「この知識は封印されるべきもの」。
それは、我々がまだ知ってはならない未来への選択の書だったのかもしれない。