気付いたら2018年も終わり。
という事は、息子の病気が発覚してちょうど1年。こんなに辛い1年はなかったな…。

市民病院から医療センターに救急車で運ばれた息子。
到着後、対応してくれた総合診療科の優しそうな先生が

「肝臓は相当大きくなっていますが、見た限りでは、悪性のものではなさそうですね…
考えられるのは、肝血管腫、血管内皮腫、肝紫斑病…
まあ、98%の確率で良性でしょう」

と、不安で倒れそうだった私の精神力を完全回復してくれるような一言をキラキラ

98%という微妙な数字はどこから来たのだろう…と思いつつも、
「良性なんだ、命に関わることはないんだ」
という安堵で、それから先のことはあんまり覚えていない。

とりあえず息子は集中治療室に入るので、付き添いは時間制限があって自由にはできない。
仕事を切り上げて駆けつけてくれた夫と共に、一旦家に帰ることにした。
「とりあえず良性みたいで良かったね」
なんて呑気な会話をしながら…

しかし、その日の夜、22時頃。
私の携帯に、医療センターから着信があった。ちょうど長男を寝かせたところで、静かな寝室に響き渡った着信音に心臓が止まりそうになったアセアセ

深夜の病院からの着信なんて、良い話じゃないのはわかってる。
動悸が早くなる。
出るのが怖い…でも出なきゃ…


「はい、もしもし」

「夜分にすみません、医療センターのYです。シンくんのお母さん、今から病院に来て頂けますか。できればお父さんもご一緒に」

うわーーこれ絶対ヤバい話だ、なんでだよ、良性だって、命に関わることはなさそうだって言ったじゃない?何があったの?

でも、電話では怖くて聞けない。聞いてしまったらきっと正気でいられなくて、病院に行くまでの運転で絶対事故を起こすリムジン前

脳内ではパニックになりながらも、 

「わかりました。今から準備して向かいますが、長男を誰かにお願いしないといけないので、その準備をして病院に着くまでに1時間半はかかると思います」

と冷静を装って答えられた。

ドクター「到着する15分ほど前になったらお電話頂けますか。夜分に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。」


電話を切った後、私は震えながら夫に病院からの呼び出しについて話をして、急いで医療センターに向かった。

病院に到着早々、ドクターが出迎えてくれて、言いにくそうな顔でこう告げた。

「MRIを撮らせて頂き、詳細に見た結果、当初の見立て以上に状態が悪いことがわかりました。

もう肝臓がほとんど機能しておらず、いつ血管腫が破裂して大量出血になってもおかしくない状態です。

今この時点ではできることはほとんどなく、今夜にも急変という事もあり得るということをご承知頂きたい」

簡単に言うと、

もう手の施しようがない
今夜にでも命を落とすかもしれない

という事。


わざわざ夜中に車を飛ばしてこんな死刑宣告を聞きに来たの?良性っていうのは命に関わるものじゃないって意味ではないの?

色々な感情がごちゃ混ぜで、でも頭は真っ白。
そのあとの先生の話はよく思い出せない。

帰りの車の中は私も夫も一言も喋らなかった。
よく事故らなかったと思う。

家に帰ってから、息子のベビーベッドにすがりついて泣いた。
あの子の匂いがする。
赤ちゃんのいい匂い。
この匂いもいつか消えてしまう日が来るの?
あの子はもうこのベッドには戻って来ないの?

一晩中あの子の毛布を抱きしめて泣いた。

朝になっても涙は止まる気配を見せず、涙って枯れることはないんだ、と生まれて初めて実感した。