うつ病において、ご家族のサポートは患者さんにとって何よりも大きな支えになります。

4つのシーンに分けて、具体的なサポート方法をご紹介します。


ミッキー家族のための うつ病サポートブック かっこつづけるかっこ

治療をきちんとつづけるために


スターくすりの服用について正しく理解してください

うつ病は過度なストレスによって、脳内神経伝達物質のバランスが乱れ、病気の状態を引き起こしています。

脳内伝達物質には、神経細胞から神経細胞へと情報を伝達する役割があり、気分や意欲、記憶などの情報伝達をコントロールしています。

この神経伝達物質のうち、セロトニンという物質のバランスが乱れることがうつ病に関係していると考えられています。


そのため、くすりを服用して脳内神経伝達物質のバランスを整える必要があります。

しかし、くすりに頼るのはよくないと考え、自分の判断でくすりの量を減らしたり、やめてしまう患者さんもいます。

まずは、ご家族が治療の必要性を理解し、患者さんの服用をサポートしてあげてください。


くすりを服用するときの注意点

 ○抗うつ薬の効果はすぐにはあらわれません

  抗うつ薬は効果があらわれるまでには2~4週間かかります。すぐに症状がよくならないからといってあせる必要はありません。


 ○症状がよくなっても、自分の判断で服用を調整してはいけません

  症状がよくなったのは、くすりによってコントロールされているためです。勝手にくすりの量を減らしたり、やめたりすると症状が悪化してしまう可能性があります。


 ○くすりは徐々に増量していきます

  抗うつ薬は、少量から徐々に増量していくのが一般的な服用方法です。くすりが増えるからといって、病気が重くなっているというわけではありません。


 ○心配なことは、遠慮せずに医師に相談してください

  抗うつ薬は、はじめに軽い副作用がでることがあります。多くの場合、しばらくすると自然になくなりますが、気になる場合は医師に相談してください。


 ○くすりの服用を突然中止してはいけません

 抗うつ薬は突然、服用を中止すると頭痛やめまいなどの症状があらわれることがあります。服用を中止するときには、徐々に減らしていきます。飲み忘れによる中断にも注意してください


スター「休職」や「入院」など、環境を整えてください

うつ病の治療ではくすりと並行して、十分な休養をとることも大切です。責任感の強い患者さんは、仕事を休んだり、家事をやらないことは悪いことだと思い、なかなか休みをとろうとしません。

精神的にも身体的にも負担がかかった状態では十分な治療効果は期待できません。

ときには休職という選択が必要なこともあります。


医師が、休職が必要だと判断した場合は、ご家族がどの程度の期間必要か、全体的な見通しについて医師から説明を受け、「今は休んでほしい」という思いを患者さんに伝えてあげてください。

休むことが悪いんだと思っている患者さんにとって、ご家族から「休んで欲しい」と言ってもらえることで、こころの負担は軽くなります。


女性の場合、家族の食事、掃除、洗濯、子供のことなど、なにかと気になってゆっくり休むことができません。

そんなときは、入院というのも1つの選択肢です。

抗うつ薬の効果が認められ、症状が安定するまでの間、入院して治療以外に何もしなくてもよいという環境をつくるという選択もあります。


スターできるだけ、そばにいてあげてください

”一緒にいる”というのは、物理的な時間を過ごすということではなく、精神的に一緒にいるということです。

たとえば、うつ病のために眠れずに辛いと思っている患者さんに対して、「眠れないのは辛いよね。今は辛いかもしれないけれど、治療できっとよくなるよ」と苦しみを受け入れて、共感してあげることです。

一番身近なご家族が自分の辛さをわかっていてくれると感じるだけでも、患者さんの安心感はとても大きくなります。


スター共倒れしないための方法をみつけてください

治療が半年、1年と長期にわたると、ご家族の心理的な負担も大きく、ご家族までもが心身ともに疲れ果ててしまうこともあります。

そうならないために、うつ病という病気についてよく知り、上手につき合うコツを見つけていただきたいのです。


うつ病の患者さんは「動かざること山の如し」と言う言葉があてはまるほど、言葉の力では動かない特徴があります。


ご家族はなんとかよくなって欲しいと思い、励ましたり、元気づけようと一生懸命に声をかけます。しかし、期待するような反応が得られず、それが1年もつづくとご家族の心理的な負担も大きくなり、サポートすることを諦めてしまったり、ご家族のほうがこころのバランスを崩してしまうこともあります。

そのため、うつ病は言葉の力では治らず、見返りを期待してはつづかないことを理解してサポートすることも大切です。


よくうつ病患者さんにたいする”励まし”と”気晴らし”は逆効果といわれます。これは、励まされても期待に応えられない自分自身に嫌気がさし、辛くなったり、気晴らしに誘われても病気のために楽しむことができないためです。

治療中は反応が返ってくることを過度に期待せず、”今は響かないから、病気がよくなるまでゆっくり待とう”と考えることも、長期にわたる治療をサポートするうえでは大切なことです。


朝、早く目が覚めて不安が押し寄せる。

そんなとき、隣で一緒に寝ているご家族の寝顔をみるだけで、安心できるかもしれません。

特別なことができなくても、一緒に寝る、ごはんを食べるなど、生活をともにするだけで、患者さんにとっては大きな支えとなっていることを忘れないでください。