うつ病において、ご家族のサポートは患者さんにとって何よりも大きな支えになります。
4つのシーンに分けて、具体的なサポート方法をご紹介します。
家族のための うつ病サポートブック
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治療をはじめるために
ご家族がナビゲーターになってください
うつ病の治療のために病院へいくことをすすめるときには、「調べたら隣の駅に○○というクリニックがあったから、今週の金曜日に一緒に行ってみようか?」と、場所や日時を具体的に提案してあげてください。
うつ病になると決断力が低下するため、調子が悪いことはわかっていても、そのためにどうすればよいのか、病院へ行くべきかどうかを自分で決められない状態になっています。
そのため、いつ、どこの病院へ行くのか、具体的な提案をしてあげたほうが受診しやすくなります。
精神科や心療内科など、これまで行ったことのない診療科に1人で行くのはとても不安です。
「一緒に行ってみようか?」と付き添うことも伝えると、安心して病院へ行く気持ちになれます。
病院にはできるだけ付き添ってください
病院に付き添うことは、2つの大きな意味があります。
1つは、患者さんが病気のために考える力が低下しており、自分の症状についてただしく医師に説明できないため、代わりに症状を伝えるためです。
いつからどんな症状がでているのかを整理できないうえ、病気のときは症状に敏感または鈍感になっており、症状を強く感じたり、また逆に、症状に気づきにくかったりします。
2つ目は、どのような治療が行われ、回復までにはどのくらいの期間が必要なのか、ご家族も一緒に医師の説明を受けておくためです。
ご家族が病気のことや、治療の必要性について正しく理解しておくことが、治療をスムーズに進めるうえで重要になります。
”原因”にとらわれ過ぎないことが大切です
うつ病と病院で診断を受けた後、ご家族が「なぜうつ病になってしまったのか?」と、原因探しをすることがあります。
教育が間違っていた、話を聞いてあげなかった、自分が悪かった、会社や学校に責任がある、原因をあげればきりがありません。
しかし、うつ病はたった1つの原因だけで発症するものではありません。
また、原因と考えられる要因を排除したからとって、うつ病が治るとは限りません。
大切なことは、うつ病になったという現実を受け止め、これからどうしていくことが一番よいことなのかを、本人や担当の医師と一緒に考えていくことです。
すこし前、うつ病が身近な病気であることを説明するために、”こころの風邪”とたとえられることがありました。
しかし、「風邪なら、病院へ行かなくても治る」というような軽いイメージをもたれてしまうため、うつ病をこのように呼ぶ先生は少なくなりました。
うつ病はきちんと治療すれば治るものの、悪化すると辛さのために消えてしまいたくなることもあり、命にもかかわる重大な病気です。
ご家族には、このことを理解していただきたいと思います。