「先入観と思い込み <うなぎ編>」 | 鰻に魅せられて

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☆うな重を食べるとそこには笑顔が生まれる☆

(※長文)

 

『中国産?それなら、帰ります』と店を後にする方、『台湾産を使っているのですか?それなら、この前の予約はキャンセルしますね』と断る方、どちらもうなぎ専門店さんから聞いた、つい最近の話だ。

 

 

日本の食料自給率は38%という低水準にも関わらず、一般消費者の国産志向の高さは昔から変わらず、うなぎも然り。冒頭のように、中国産、台湾産に対して昔から、先入観が邪魔しているのか、イメージ的に敬遠される場面は多い。外食産業で“国産“と表示するだけで売り上げが変わる、との話もあるほどだ。

 

ちなみに、日本国内に流通する活鰻は国産、台湾産、中国産ともにアンギラ・ジャポニカ種(ニホンウナギ)という同じ品種。専門店においても“時期によって、国内外産問わず、良質なジャポニカ種を使い分ける”ところもある(※JAS法において専門店での産地表示は義務ではない)。

 

機会があれば、(産地に対する)先入観をなくした上で、それこそブラインドにて一度、それぞれのウナギを試食するのも良いかもしれない。

 

試食後、改めてどのウナギが好きか、嫌いかを、これまでの歪んだ情報に流されることなく、自分自身で決めることはとても大事なことだと思う。

 

そのなかで“やはり、国産が美味しいわね”“ぼく、台湾産が好みかも”“中国産、いいね”、人の嗜好というものは様々であり、いろいろな意見があって当然だ。

 

また一番、気になるのが安心・安全面ではないだろうか。中国産ウナギ蒲焼の輸入量がピークを迎えたのは2000年。あれから丸17年経ったが、中国産ウナギを食べて体調がおかしくなったとか、そんな報告がはたしてあっただろうか。業界は大変な思いをし、安全・安心に向けて尽力、現地の大半のウナギ加工場では1/10億分の単位まで調べられる、ん千万単位の検査機器も導入したほどだ。

 

そのほか、ネット上にある、根拠のない“つくり話”に流されてはいないだろうか。冷静になれば、新たに見えてくるものがある。

 

ちなみにうなぎの相場は現在、5Pサイズ(一次卸問屋価格)で比較すると、中国産、台湾産は国産とほぼ横並び。“国産が必ず、一番高い”というルールはなく、これが現実だ。

 

参考までに2016年の国内ウナギ流通量(5万479トン)の割合は、中国産が56%(うち83%が加工品、17%が活鰻)、次いで国産が37%、台湾産が5%、その他2%となっている。

 

“先入観”、“思い込み”は、大切な判断を見誤る要因の一つといっても過言ではない。“本質”を見ようとする思いがなければ、一生、その“本質“は見えてこない。