4 ぼくらは、800本以上ものソメイヨシノが植えられた目黒川沿いをてくてくと歩いた。「ほんと、鰻開だな」ソメイヨシノを見上げながら、ぼくは感心した。見下ろせば、緩やかに流れる目黒川、東京湾まで続いている。「ん!うなぎ?」きらりと光った水面に、ぼくはにょろっと首を伸ばし、覗き込んだ。その刹那、「早く、歩いてよ。いつも、おじいちゃんみたいに歩くのが遅いんだから」連れはそう言いながら、ぼくの手をぎゅっと引っ張った。(あれ、うなぎだよ、たぶん・・・)ぼくは、後ろ髪を引かれる思いで、ソメイヨシノと目黒川を交互に見ながら、ただただ歩くのだった。