会社は、私たちの質問に対して、一つ一つ答える義務はないと言いました。従って、回答した質問と、回答しなかった質問があります。まず、最初の3つの質問に対しては、会社の回答がありましたので、要約を記します。

I.    第3世代人事管理システムの導入について
1. 第3世代人事管理システムの導入の目的を、より公平な成果主義の導入」としていることについて

①    質問①人件費の削減は目的ではないのですか?
<回答>
● 平成13年の人事管理システム導入以来、いわゆる成果主義の人事システムをとってきたが、これは社員の活性感、モチベーションを持たせることを目的として導入したものであり、これは現在でも変わってはいない。?    第1の目的は、活性感の向上である。活性感とは「社が期待する人間像により近い社員」には高い評価を、「そうではない社員」へは厳しい評価を行うことである(但し、一度厳しい評価を受けた社員であってもそれを挽回することを可能である)。

● 第2の目的は、政権交代等による受注動向、社会環境等の激変への対応能力
を高めることである。?    社員の活性感がえられ、その結果社業が発展すれば、主に業績賞与で社員へ還元する。従って、結果として人件費が増加することは認めるシステムである。

●  第3世代人事管理システムへの改訂後の給与は、一年間は少なくとも改訂前と同等以上となるよう移行処置を取った。

②    第3世代人事管理システムでは従前と比較して基本給を大幅に減額しているが、「より公平な成果主義の導入」実現のために、基本給を大幅に減額する必要性を説明して下さい。
<回答>
● 第3世代人事管理システムでは、第2世代人事管理システムと比較し、基本給を減額する一方で等級給を増額した。この合計額に、超過勤務手当または同相当額をあわせた金額は、改定後一年間は改訂前と同等以上となるよう移行処置を取っている。この変更は、上記①のとおり、社員の活性感を向上させ、環境激変に対する対応能力を高めるために行ったものである。

③    定額残業代制度の導入(会社側の説明では月30時間から45時間への拡大)がどのように『より公平な成果主義の導入』に寄与するのか説明して下さい。
<回答>
● 年功序列から成果主義への移行に代表されるように、人事制度は時代によって変化する社会常識、社会通念に沿って改定されるべきものである。

● 当社はコンサルタント業であり、総合職社員はほぼ全員が、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションに該当するような企業である。即ち、如何に効率的に時間を使うか、定められた時間内に成果をあげられるかが重要であり、長い時間をかけなければ成果を出せないタイプの社員は、残念ながら当社にとって期待する社員ではない。

 以下は、会社の回答に対する私の見解です。

①の回答について
 「社が期待する人間像」というのが、どのような人間か定義されていません。きっと会社の考課表で満点を取る人間でしょう。それはさておき、「活性感の向上」とか、「環境激変への対応能力向上」が目的であり、人件費削減ではないということです。

 私たちは、会社は所定労働時間に対する賃金(基本給+等級給の合計額)を従業員の同意無く減額するという不利益変更を行ったと主張しています。従業員の同意を取らずに不利益変更を行った場合、変更の合理性が争点となります(就業規則の変更による場合のみ)。「活性感の向上」や「環境激変への対応能力向上」という目的は、『企業側の変更の必要性の内容・程度』として不利益変更の合理性を判断する要件の一つとして判断されることになります。勿論、私たちは、「必要性の観点では合理的ではない」と考えています。
(参考URL: http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=13945

 給料を低く抑えておいて業績が良い時にボーナスで社員に還元するのではなく、給料をいじることんなく業績が悪い時にボーナスを削減して調整するのが普通であると思います。

②の回答について
 システム変更の目的を繰り返し述べています。「基本給を減額し、等級給の割合を高めたので、成果主義としては、より公平になった。」ということでしょうか。

 回答では、主幹以上について言うと、基本給、等級給、超過勤務手当相当額(月45時間分)の合計額が、少なくとも1年間は従前の基本給、等級給の合計額以上であったことをここでも強調しています。しかし、超過勤務手当相当額というのは所定の労働時間に対して支払われる賃金ではありません。従って、システム変更後の所定労働時間に対する賃金、すなわち基本給と等級給の合計額は、従前と比べ、削減されたのは明らかです。

 なお、会社は従前においては基本給と等級給が月30時間分の超過勤務手当を含んでいた、と主張しています。勿論、私たちは認めていません。これについては別の質問の回答として述べられていますので、後日述べます。また、従前で月30時間分の超過勤務手当が支払われていたと仮定しても、みなし超過勤務手当を15時間分増やし、所定労働時間に対する賃金を削減したわけですから不利益変更には変わりありません。

③の回答について
 製造業の工場のラインで働いている方々も、「如何に効率的に生産するか」、「如何に効率と品質向上を両立させるか」などが常に求められています。会社は、コンサルタント業だから「如何に効率的に時間を使うか、定められた時間内に成果をあげられるか」を求められているように主張していますが、そんなことはありません。他の業種でも同じです。

 ホワイトカラーエグゼンプションを持ち出すとは、笑っちゃいます。嘗ての
安倍政権時代に、国会に法案すら出せなかった『残業無制限ただ働き制度』で
す。日本は法治国家です。まず国会のロビー活動でもして、制度ができてから、言って頂きたいです。