今回の団体交渉では下記の要求を挙げました。
   <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<
1、人事管理システムと賃金の変更に伴う不利益変更と労働時間管理について
(1)第3世代人事管理システムを撤回し、第2世代人事管理システムに戻すこと。
(2)第2世代人事管理システムにおける、4等級以上(大卒12年目以上)の総合職社員が、労基法で定めている管理監督者の定義と異なる実態にも関わらず、管理監督者扱いをしていることを改め、法所定通り労働時間管理をした上で、時間外手当を支給すること。
(3)法所定通り過去2年間の時間外手当を遡及払いすること。
   <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<
「第2世代人事管理システムに戻すこと」とありますが、これは10%カットをする以前のことです。更に、時間外労働手当を支払うように要求しました。要求内容を言葉を変えて整理すると、

(1)第2世代人事管理システムから第3世代人事管理システムへの変更は不利益変更であり、一方的な変更・導入は違法である。従って、第3世代人事管理システムは法的に無効である。これにより、自動的に第2世代人事管理システム(10%カット前の状態)に戻ることになる。


(2)第2世代人事管理システムの中の違法な部分(偽装管理監督者)は法的に無効となり、その代わりに、当該部分には労働基準法が適用されるので、労働基準法に則り、会社は管理監督者ではない全社員の労働時間を適正に把握し、時間外労働手当を支給しなければならない。

(3)第2世代人事管理システムにおいて、会社は時間外労働手当を等級給に含めて支払っていたと説明したが、それが嘘であることを明確にするために、具体的な争点として過去2年分(法律上請求できる範囲)の時間外労働手当を未払い賃金として請求する。


ということです。

1.今回の人事管理システム変更は不利益変更である。
使用者(会社)が従業員(社員)の労働条件を切り下げることを不利益変更といい、個々の従業員から同意を得ることなく一方的に不利益変更を行うことは違法です(労働契約法9条)。社が倒産の危機に瀕しているなどの合理的理由がない限り、不利益変更を行う際には、使用者が、従業員に対して、変更の内容や必要性を誠実に且つ正直に説明して、従業員一人一人から同意書を取ることが必要なのです。
給与明細を見ると解るように、要するに、今回の第2世代から第3世代への人事管理システムの変更では、会社は基本給を大幅に削減して、それを超過勤務手当相当分(すなわち残業代)に付け替えたのです所謂「名ばかり残業代」という手法であり、最近流行っている人件費削減の常套手段です。従業員が受け入れやすいように総支給額を従前よりも弱冠多くして、システム変更に反対する従業員を減らす手口も、『社長の味方』と自称する弁護士や社会保険労務士たちのマニュアル通りです。人事考課法の変更や等級の細分化と一緒に変更することにより複雑にしてわかりにくくして実施していますが、これは「所定労働時間に対する賃金(基本給と等級給の合計額)」の大幅削減であり、またそれに基づく時間外労働基準単価の大幅減額であり、不利益変更です。そして、社員から同意書を取ることなく、一方的に不利益変更を実施したことは違法です。

2.第3世代人事管理システムもまた違法である。
第3世代人事管理システムでは、超過勤務手当相当分として年間540時間(月45時間)の時間外労働手当を支払っていますが、これには何の根拠もありません。「君たちは残業をしていない(或いは、しなくていい)から、今月から超過勤務手当相当分は払わない。」と言われればそれまでです。私達は、今そういう状態に置かれているのです。何故そんなことができるのかというと、就業規則(給与規程)に「年間540時間の超過勤務手当相当分を支払う」という規定を加筆変更しないからです。毎月定額を社員に支払う以上、給与規程に明記する必要があるのは明らかです。会社は、第3世代人事管理システムハンドブックの中でも、これに関して36協定ベースで定めると説明しています。36協定とは、時間外労働の上限枠を取り決める労使間の協定であり、定額残業代を取り決めるものではありません。また36協定は、就業規則(給与規定)と異なり、毎年労使間で交渉して締結するもので、来年度も540時間の超過勤務手当相当分が支払われるか否かは交渉次第で、保障はありません。更に驚いたことに、540時間の超過勤務手当相当分の件は今年度(平成23年度)の36協定に全く記載されていませんし、そもそも協定自体が主幹(4等級)以上の総合職社員を対象に含んでおりません。要するに、会社は、月45時間(年間540時間)の超過勤務手当相当分をいつでも廃止することができるようにしているのです。

第3世代人事管理システムでは、時間外労働が月45時間(年540時間)を超えた場合には、その超過時間分に関しては別途時間外労働手当を支払わなければ違法です。また、月45時間を超える時間労働手当を別途支払うためには、その規定を給与規程に加える必要があります。そのためには、まず会社は社員の労働時間をキチンと管理しなければなりませんが、全くされておりません。従業員の労働時間を管理しないのも違法です。これらに関して、会社は社員に一切説明をしておりませんし、人事管理システムハンドブックにも記載しておりません。この45時間を超える分の時間外労働手当を別途支払わなければ、何時間残業をしても会社が負担する人件費は一定であり、労働時間に歯止めがない状態で過労死してしまいます。

第2世代と同様に、第3世代人事管理システムも違法な内容を含んでおり、認められません。