今回は科学的考察とは対極となる。
 分かりやすくするためだ。

 
 福島第一原発の3号炉はMOX燃料を用いるプルサーマル方式である。
 科学分野で解説するとややこしいと思われるだろう。
 かなり噛み砕く。

 
 原発は必要である。
 反対しても無くそうとしてもできないのが現状だろう。

 これは売春と同じである。

 原発は売春なのだ。

 
 こう書くと、売春は悪いことだという先入観があるかもしれない。
 (善いことだと言っている訳でもない)

 売春はヨーロッパの多くの国では認められた職業である。
 何も悪いことではない。
 
 売春と泥棒は最古の職業などという。
 泥棒が職業というと違和感があるが、生業(なりわい)というなら間違いではないだろう。

 法律で禁じても売春はなくならない。
 まあ、日本の法律では禁じられていないので、即悪いことだとも言い難いのだが。

 法律で禁じられているのは売春のための場所の提供と、売春婦の斡旋であって、売春そのものを罰することはない。
 
 売春が悪だという人もいれば、悪ではないという人もいる。
 
 原発が悪だという人もいれば、悪ではないという人もいる。

 同じである。

 
 これに対し、MOX燃料を使ったプルサーマル発電はどうだろうか。
 普通の原子力発電と似たようなものである。
 違うのは燃料であって、そのプルトニウムの量が違うだけだ。

 これは18歳未満の売春だと考える。
 年齢はプルトニウムの含有量だ。

 プルトニウムが多くなれば、年齢が下がるとしよう。

 16歳以上ならいいか、15歳か、14歳か、13歳か。
 そもそも18歳未満はダメと考えるか。

 これも多少はいいと考えるか、ダメと考えるか、人によるだろう。

 プルサーマルで使えるならいいと考えるのは、低年齢でも売春ができるならいいと考えるのと同じである。

 
 アメリカでもMOX燃料の製造は中断していて、過去に作ったもののみ使用できるという状況である。
 推進しているのはフランスだけで、他の国はMOX燃料から手を引いた状態なのだ。
 それだけでなく、ドイツなどヨーロッパの多くでは原子力発電を終了し、別のエネルギーに移行しようという方向となっている。
 日本でこんなことがあれば尚更で、原発に反対するのに十分な材料となることだろう。

 今回の事故で、不思議なくらい何も言われないのがMOX燃料である。
 「3号炉はMOX燃料であり、そのため危険度が高い」などとは口が裂けても言えないのだ。
 なぜなら、「安全だ、安全だ」と言ってきたからである。
 事が起これば危険だというなら、最初から危険なものだろう。

 
 以前、MOX燃料を説明するのに、カロリー量の違う燃料を使っていた。
 ガスにはカロリー量があり、使用する機器が対応していないと危険になるのだ。
 他にも灯油ストーブに灯油だけでなくガソリンを混ぜてもいい。
 ある程度混ぜても爆発はしないだろうし、より良く燃えるかもしれない。
 危険度が上がると言われるかもしれないが、それが想定外の燃料(本来の燃料以外)を使うということである。

 危険で当たり前なのだ。

 
 詳細な内容は他に譲っている。
 だが、これだけで原発の本質やMOX燃料というものについてのイメージは掴めることだろう。