福島第一原発で危機的状況が続いている。
 現時点ですら、スリーマイル島事故を超え、チェルノブイリ事故に迫ろうとしているのである。

 スリーマイル島の事故では、原子炉停止後の事故で2時間半に渡り炉内の水位が低下し、メルトダウンを起こしていた。
 放射能漏れもあったが、半径10マイル(16km)を超えて観測されることはなかった。
 
 アメリカが福島第一原発の付近に居住する自国民に勧告したのは50マイル(80km)圏内からの退避である。
 たった2時間半と思ってしまうのはそれだけ危機的だということの証明だろう。

 
 いくつもの原子炉が同じような状況にあるが、なぜ3号炉を最も警戒しているのだろうか。

 これは原理力関係者が口が裂けても言えない事情があるからだ。

 
 福島第一原発3号炉はMOX燃料を使ったプルサーマル方式を始めているのである。

 プルサーマルはその危険性から住民の反対があり、いくつもの原発が見合わせを余儀なくされている。
 国の方針としてはMOX燃料を使わないと困るため、危険性はないと言い続けなければならない。
 
 ここで、「3号炉はMOX燃料だから最も危険性が高い」などと言ったら、今後のMOX燃料の使用はできなくなるだろう。
 それは日本だけでなく、外国、特にアメリカには困った問題となる。

 
 3号炉の使用済み核燃料もMOX燃料だろう。
 大量のMOX燃料がむき出しになっているかもしれない。

 
 プルトニウムが猛毒という話があるが、実はそれは問題ではない。
 半減期がウランの45億年に対し、2万4千年と短い。
 それだけ崩壊が早く進むことになり、それは放射性レベルの高さ、発熱の多さになる。

 より冷やさなければならないのである。
 

 なぜ、猛毒というのが問題ではないか、だ。

 放射性物質だからである。

 よく毒の強さとして、何グラムで致死量とか、これだけあると何人分の致死量になるなどという。
 放射能を持ったプルトニウム1kgで何人分という計算をするのに意味がないのである。

 なぜなら、放射線はずっと出続けるからだ。
 何人死んでも減らない。

 例えば、燃料の状態ではなく、廃棄するためにガラスと混ぜ黄色いドラム缶のようなものに封入した高レベル放射性廃棄物というのがある。
 これは核燃料よりは安全なはずである。

 その放射線レベルは1500シーベルト。
 単位に注意していただきたい。
 マイクロでもミリでもない。
 概ね7~10シーベルトで100%が死に至るのだから、近くに数分もいれば生きてはいられないくらいの放射線が出るのだ。

 これを1500÷10で、150人分とは計算できない。
 ずっと1500シーベルト(経年で減衰するが安全レベルには下がらない)だから、何億人が死んでも放射線は変わらないのである。

 
 高温になるとメルトダウンを起こすが、その際にガス状の放射能が出る。
 放射性物質にも通常気体というものもあるからだ。

 有名なのはラドンで、ラドン温泉で何ベクレルだなどという。
 ベクレルは1秒あたりの崩壊数で、高いほど放射能としては強いことになる。
 WHOでは、このラドンですら肺がんの6~15%の要因となっているとして警告しているくらいである。

 
 温度が上がりやすく冷めにくく、放射線レベルも高くなるのがMOX燃料なのだ。

 もちろん、何事もなく、ちゃんと制御できれば、MOX燃料でも高速増殖炉でも核融合炉でも安全だろう。
 何かあると危険なのは当然だし、危険度が上がるのも当然である。

 
 なぜ3号炉なのかの答えは、最も危険だからである。

 MOX燃料なのだから。