人類の祖先には体毛があった。
 いつからか体毛が極めて薄くなっている。
 なぜだろうか。

 いくつもの説があるが妙なものも多い。
 それらを検証することはやめてこう。

 
 病気などで一斉に毛が抜けたとしても、一過性であり、それが遺伝することはない。
 遺伝的に薄くなっていったと考えるしかないだろう。

 温度調節として考えると、体毛がある程度あった方が都合が良い。
 サバンナの動物はみんな体毛があるのだ。
 そういう地域の人は、直射日光を浴びないように長い服を纏い、顔まで覆うのである。

 しかも単に体毛が抜けただけでは意味がない。
 汗をかかないと体温調節ができないからだ。
 体毛のある動物は汗をほとんどかかないのである。

 汗はエクリン腺から出てくる。
 ヒトは汗をかき、体温を下げられるから体毛がない方が都合が良いのである。
 どちらが先に進化したのかは分からないが、同時に進化したと考えるべきだろう。

 体温調節が最も必要なのは脳の活動のためである。
 脳は体の20%ものエネルギーを消費する器官なのだ。
 脳の発達が、体毛より先に起こっていたのだろう。

 
 体毛がある者とない者がいたとしたらどうなるか。

 通常であれば、多くが体毛があった場合、少数派は駆逐される。
 虐げられ、追いやられるだろう。
 なぜ生き残っているのか、だ。

 体毛がない方が都合が良かったというのは当然だろう。
 だから体毛がなくなったのであって、なぜなくなったかの理由にはならない。

 体毛がある者が体毛のない者に興味を持ったからだと考える。
 知恵があるのだから。

 つまりはセックスアピールだ。

 より活発に子孫を残せたのが体毛のないタイプだったのである。

 
 直立しない、あるいはあまり直立しない猿では、セックスアピールは尻にある。
 直立するヒトの場合、胸となっている。
 猿と同様、お尻にもセックスアピールがあるかもしれない。

 淘汰・進化には交配が必要となる。
 もし、体毛がない者が疎外されるなら交配の対象とはならないはずなのだ。

 これは有色人種から白色人種が生まれたときも同じことが言える。
 もちろん、無毛も色白も一代で生まれたのではないだろう。
 何世代にも亘ってのことである。
 つまり、それを望んだということであり、それこそセックスアピールなのだ。

 
 では、体の一部にだけ体毛(腋毛や陰毛)が残ったのはなぜだろう。
 擦れるのを防ぐなどというのは詭弁である。
 あった方が擦れる。

 体毛の残っている部分に多いのはアポクリン腺である。
 強い匂いを出すことがあり、嫌われ者だが同時にフェロモンも分泌する。

 フェロモン(性フェロモン)は完全なセックスアピールである。
 動物ではフェロモンが最も重要だ。

 体毛のもうひとつの効果として、成熟度が分かることが挙げられる。
 毛がないのはまだ未熟で、毛が生えると子供が作れる状態のサインとなる。
 非常に分かりやすい。

 
 このように、全てはセックスアピールである。
 動物として当然のことだ。

 なぜなら、ヒトは動物の中で最もスケベだからである。
 動物は(恐らく)本能だけで子孫を残すが、ヒトは違う。
 遊びとしてSEXするのはヒトと類人猿の一部だけだ。
 もちろん、避妊をするのはヒトだけである。

 知能が発達して動物としての本能が薄らいだとしよう。
 SEXより楽しいことはいくらでもある、はずである。
 なのに人口はこれだけの数にまで増えている。

 もし、スケベでない人ばかりだったとしよう。
 子供は生まれず絶滅するはずだ。

 だから、ヒトとはスケベな生き物だというのである。

 
 ちなみに、見えない部分でも変化がある。
 ヒトには陰茎骨がないのだ。

 陰茎骨とは多くの動物が有している、ペニスの中にある軟骨のことである。
 霊長類で陰茎骨がないのはヒトだけなのだ。

 これは、ない方がヒトには都合が良かったからだろう。
 流石にこれまではセックスアピールと言えない。

 しかし、淘汰としてない方が選ばれたということにはなるだろう。
 ホネのある男より、柔軟な男が選ばれたのかもしれない。

 ヒトのペニスは体の比で言うと動物の中では一番大きいという。
 ゴリラは3センチしかないらしい。
 大抵の動物のペニスは通常時体内に納められているので、セックスアピールにはならないのだろう。
 まあ、ヒトも見せ付けて歩いている人は(ほとんど)いないのだが。