昨日、加藤訓子の新譜がタワーレコードから届いた。その話に入る前に、昨日の東京新聞にある国連特別報告者ケナタッチ氏からの安倍首相に対する書簡への菅義偉官房長官の記者会見の記事を読んで、あるモノクロの幽霊が突然現れた。よもやと思ったがその幽霊の正体とは松岡洋右だった。はたして歴史は繰り返されるのだろうか。マルクスは2度めは喜劇といっていなかったかしら。

 

加藤訓子といえば、私が知る限り、ライヒ、クセナキス、ペルト等の現代音楽の素晴らしい演奏家としてのイメージしかなかったのだが、ここにきてバッハのCDリリース。コンテンツは無伴奏チェロ組曲から1,3,5、そして無伴奏ヴァイオリンソナタ全曲、それに2つのちいさなプレリュード。わたしはこのCDにふたつのことで心が揺さぶられた。一つはマリンバというピアノよりさらに音の減衰が早い楽器で音が好きなだけ持続する楽器のためにかかれた音楽に挑戦したこと。そしてもう一つは彼女のバッハへの関心とリスペクトと、そのマリンバの弱点としての発音原理が新しいバッハ演奏とマリンバの可能性の地平を結果的に拓いていることへの驚き。

ゆったりとしたテンポで非常なニュアンスで演奏されるバッハはなるほど彼女が言っている、「バッハもロマンチスト」というのが、にわかに賛成というわけでないが、わかる気もする。