昔から、「個性的な子ね」と周りにいわれながら育って来た。
そのことばの中に悪意を感じたときだけ、「おばちゃんみたいなふつーはいややねん」と返す、こまっしゃくれた子だった。

あれから十数年が経ち、個性的な子はふつーに結婚した。

ふつーに結婚して、個性的な妻となった。

個性的な子はいまだに、「個性的な人だね」と悪意をもっていう人が周りにいる。
そういう人には、「羨ましい?」と返す。

個性的といわれる自分はふつーが分からないけれど、自分は自分がふつーだと思っているので、彼らのいうAの中にひとりBっておかしくない? という真意に対し、みんな違うのになぜそれに気がつかないの? と疑問に思う。

けれど、確かにみんなが気がつかなくて私だけ、否、一部の人だけ気がつくことがある。
見たくない、見てはいけないものが、見えてしまう。

家でひとり、書き物をしていてはっとする時がある。
振り返ってはいけない、背中にぞくりと戦慄が走ると同時にずいぶん前に買った数珠がパシッと音を立て、糸が切れた。
片付けられない女なので、その辺に置いておいたのだ。
床にちらばる珠。
迫ってくる背後の何か。

こんなこと、初めてではない。

主人の実家に行くときは必ず方違神社のお札を持って行く。
人が亡くなっても、女にとって、家は特別な意味を持つ。
知らない間に知らない女が自分の家族になって、家族として自分の家にいる、想像してみて。
腹が立たない?

お仏壇にすぐに帰るから、許して、許してと手を合わせる。
最寄り駅に着いたときから、頭痛と吐き気。
相反する義父のくしゃっとした笑顔。
台所?
いってはいけない、女の城。
絶対領域。

一度だけ気が緩んで入ってしまった。
結果はもう、いうまでもない。

しかし、違うのだ違うのだ違うのだ。

この家に吹き溜まりがあるからでもない、主人の実家が云々でもない。
主人のいるところに、それはいるのだ。

一年かけて、ようやく気付いた。
いままで見てきたものとは全く違うそれは、心配と否定と、寂しさと悲しさと、疎外感と、優しさが混じる。
それは母の感情なのかもしれない。

私は近い将来、「個性的な人だね」とまた、必ずいわれるだろう。
そしたら次はこう返せばいい。
「そうなの。だから、義母とも話ができるんだ」

八月二十七日は、義母の命日である。



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最近、彼にはまっている。
整体師の彼は実に丁寧に施術をする。

仕事ができるのに、プライベートでパッとしない、なんとも母性本能くすぐりまくりのセオ(呼び捨て御免)。

本当に仕事でもプライベートでもツボにはまって、ココロを鷲掴みするセオ。

彼は大成する、間違いない。



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平成と昭和が交差する街、三軒茶屋。
いまなお多く残る路地を少し入ったところに、その整体院はある。

ワンコインでホストクラブより上物の男性に身体中をほぐしてもらえるコストパフォーマンスもあり、昼時ともなるとどこからやってくるのか白衣の
ナース、制服のOL、はたまたよたり歩きのマダムまで、フル稼働である。

女性率が高い整体院、いやおもしろい。
たまにだが、カーテンの向こう側から喘ぎ声が聞こえて来ることがある。

主治医であるGod Hands ○木院長にその真相について伺ってみた。
「とても、艶かしい声が轟くこともあるのだが、カーテンの向こうではどういった施術をされているのか?」
○木院長は言い終わらない前に、
「違うんだって! いや、あれ本当に困るんだって! 私のときだけじゃないんですって!」
と、いかにも疑ってくれといわんばかりに頬を赤めて手を左右に振りながら否定した。
具体的に何が違い、どう困り、そして誰の時にどうなるのか。

じっくり詰めておかねばならない。
しかし、交通事故に遭ったばかりの身。
あまりいじめると仕返しされるかもしれないので、それは完治するまでな楽しみにとっておくとする。
その整体院名は、もちろん、ヒミツ。

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平成と昭和が交差する街、三軒茶屋。
いまなお多く残る路地を少し入ったところに、その整体院はある。

ワンコインでホストクラブより上物の男性に身体中をほぐしてもらえるコストパフォーマンスもあり、昼時ともなるとどこからやってくるのか白衣の
ナース、制服のOL、はたまたよたり歩きのマダムまで、フル稼働である。

女性率が高い整体院、いやおもしろい。
たまにだが、カーテンの向こう側から喘ぎ声が聞こえて来ることがある。

主治医であるGod Hands ○木院長にその真相について伺ってみた。
「とても、艶かしい声が轟くこともあるのだが、カーテンの向こうではどういった施術をされているのか?」
○木院長は言い終わらない前に、
「違うんだって! いや、あれ本当に困るんだって! 私のときだけじゃないんですって!」
と、いかにも疑ってくれといわんばかりに頬を赤めて手を左右に振りながら否定した。
具体的に何が違い、どう困り、そして誰の時にどうなるのか。

じっくり詰めておかねばならない。
しかし、交通事故に遭ったばかりの身。
あまりいじめると仕返しされるかもしれないので、それは完治するまでな楽しみにとっておくとする。
その整体院名は、もちろん、ヒミツ。

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多くの方から買占め非難がされている中、大阪から10kgの米が届いた。
あーちゃんだ。
我が家で祖母をばーちゃんと呼ぶ者はいない。ばーちゃんは、あーちゃんなのだ。かーちゃんでもあり、ばーちゃんでもある。でも、本当のところは幼少期、ひどく滑舌が悪い私がばーちゃんと呼べず、あーちゃ?と呼んだことから始まったらしい。

米は、昨日5kg、今日5kgと二回に分けて届けられた。

母親のところにも、同じだけ送ったらしい。



ばーちゃんは、もういつからか思い出せないけれど、膝を痛めてまっすぐに歩くことができない。
小料理屋をしているばーちゃんのその腕前は、本当にプロだけれど、店はここ数年、開店休業だ。
いつだったか、「どうせお客さん来はらへんねんから、もう一週間二週間休んで、旅行行こうや」といったことがある。
ばーちゃんは、「あほいいな! ほんなことしたら、潰れた思われるやろ」と、店に出るために着物の帯を締めながら私に言い返した。

ばーちゃんは、読み書きが苦手だ。
小さい時、私はいつも、「お品書き」をホワイトボードに書く手伝いをしていた。
ペンを持って待ち構えている私に、「一、玉子焼き 一、すのもの」と読み上げる。「あーちゃん、一の次は二やで」というと、「一でえーねん」といわれ、何で何で?と聞き返した記憶がある。

あるとき、道路に停めてあった車の下に、白いウサギが居たのを見つけたあーちゃんは、「有紀、反対側行って脅かし!」というから、「かわいそうやん」といったのに、あーちゃんが怖いから従った。驚かされたウサギはびっくりして、私の反対側に逃げたところをあーちゃんが素手で捕まえた。あーちゃんに食べられる!と思ったけれど、あーちゃんはそのウサギを飼ってくれた。

あーちゃんはものすごく怖かった。よく叩かれたし、パンツ一丁で家から出されたことも多かった。
いまでも、あーちゃんは我が家で絶対なのだ。

そのあーちゃんと、別々に暮らすようになったのは、小3のとき、母親の再婚とともに千葉に引っ越してからだった。
それ以来、あーちゃんはテレビをつけたまま寝るようになった。

月日が経ち、私は男の人を知るようになる。
あーちゃんは男の人とのお付き合いにとても厳しく、私は嘘をつくようになった。
主人と同棲するとき、さんざん主人に駄々をこねた。あのあーちゃんが同棲なんて許す訳がないのはよく知っていた。
それでも貯金は毎日減った。そして私はとても消極的に同棲することにした。
大阪にも帰れない、電話もできない、手紙も送れない。
同棲してるなんてばれたら、勘当されるかもしれない。でも、結婚するかどうかも分からない。
そして、不安は毎日、積もっていった。
辛くて、家のそばの電信柱に抱きついて泣いたこともあった。だんだん、自分が分からなくなっていった。

ほどなくして、結婚が決まった。
久しぶりに帰ると、あーちゃんはいつも通り迎えてくれた。
帰りしな、夜行バスで帰る私たちに、「もう遅いし、あと一泊だけしたらええのに、あかんな。そんなんぜいたくやんな、たーさん」と、左腕と左足が少し動き辛くなったじーちゃんに、店のカウンターに腰をかけ、足をプラプラさせて、俯き加減にそういった。
あのあーちゃんを思い出すと、いまだ胸が辛い。



そのあーちゃんが75歳になった。
あーちゃんは、もう歩くのがしんどいのにタクシーで大型スーパーに行き、75歳の誕生日、あーちゃんは娘と孫に米を送った。

あーちゃんは読み書きが苦手だ。堺の家のトイレには、筆とスーパーチラシが置いてあって、その裏に家と母親の住所を何回も何回も書いている。
この住所も、何度も練習してくれたんだろう。


結婚の挨拶で堺に帰ったとき、あーちゃんは主人に、「この子育てたの私や。母親はちゃんとおる。せやけど、オムツ替えて、ご飯食べさせて、習い事に、よう遊びにも連れてったなぁ。この子半分育てたん、私ですねん」といって、「この子おらんくなって、どんなけさみしかったか。毎日自転車で遠くまでいってな、家におったらもう、かなわん。寝ても覚めてもこの子のことだけや」そういって、主人をまっすぐ見つめたあーちゃん。

恐らく、あーちゃんのしたことは、世の中でいうところの買占め行為かもしれない。
しかし、その裏には家族を想う気持ちからそうさせた事実もある。だから、買占めをしていいわけではない。でも、私はこの米をありがたく、本当にありがたくいただく。

最近、非難の声はよく聞くが、「なぜそうするのか」という理由を深く聞かないで非難する人も少なくない。
ただ、我欲の買占めも多い中で、そうでない想いもあることは、どうか、忘れないで欲しい。


どんなに仲がよさそうな夫婦でも、
夫婦ケンカはあるなんて、誰でも分かること。

渦中だと、気が付けないもので。

そして、どうやら男性は親戚付き合いとかオープンなのに、
気を遣うのはいつも女が多い。
でも、いうのね。
「そんな気を遣わなくていいって!ケラケラケラ」

あんなぁ、親戚付き合いってのは小京都やねん。
そこで、「ほんまぁ? おおきに!」なんて、座っててみーや。
主婦の方なら分かるよね?

親戚渦中に身を置かれても、AWAY感をあまり気にしない鈍感を通り越した鈍さ。
手ぶらで来なさいを鵜呑みにするおバカさん。

でも、きっとそれだけのほーんとしているから、なんとかバランスが保てているのも事実。

でも男性陣、女はいわれないと分からないし、男はいわなきゃわからないよ!といわれても、それぐらい分かってよ!ってなるのよ。
結局、互いに同じようなことをいいあってるんだわよ。

ご飯食べてる時にいわれても分からないよ!
というけれど、テレビ見ながら、おしゃべりしながら、メールしながら、おやつを食べられる女には、一つのことしかできない男性心理を理解するのは難しいの!

一番いやなのは、何を考えてるのか分からないこと。
男と女は天と地のせめぎ合い。
交わった!と思った次の瞬間、えらい遠くなっている。

簡単のような、難しいような、、



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