前々回のブログで、
垣谷美雨さん著の『70才死亡法案可決』が面白いとオススメしておりました。
あれから垣谷美雨さんの本を色々読んでいたのですが、
一冊だけ遠ざけていた
『女たちの避難所』をやっと読むにいたりました
この本だけを遠ざけてしまった理由は
ブックカバーの裏表紙に書かれた
『憤りで読む手が止まらぬ』『男尊女卑』
という表現。
最近、心が平和になっていたので、
憤るのがしんどかったのです
でも読んでみると…
面白かった!
震災の細かな描写が描かれ、それはリサーチされているだけに、TVが表面的に映し出していたものよりもずっと恐ろしいと感じましたが。
そして、その恐ろしさを切り抜けた人たちが、更なる困難に陥ったある避難所の話。
男性リーダーが『我々はひとつの家族』『絆』という言葉を盾に、衝立を使わせなかったという事実。
女性たちは毛布にもぐって服の着替えをしていたという…
単なるジジイどもの助平心で
『われわれは家族だ、衝立など水臭い』と言われ、
男尊女卑の土地柄のもと従わざるを得なかった女性たちの悲しい避難所が描かれていました。
この小説を読んで、もともと胡散臭かった『絆』という言葉がなんだか気色悪く、更に嫌いになりました。
主人公は三人の女性です。
まず一人目、
福子は55才の働き者のしっかり女性。
働かず見栄っぱりで切れやすい、ろくでなし夫がいます。
夫は津波で流されたはずで内心ホッとする福子ですが、夫は生きていました。
もうひとりの主人公、遠乃は乳飲み子を抱えた美しい女性。
この震災で愛する夫と姑を亡くし、
男尊女卑の舅と、義兄(夫の兄)と暮らすしかないように。
舅は、遠乃がもらうべき義損金や弔慰金を『家族はひとつ』と言う綺麗事を盾に横取りし、遠乃を狙うキモイ義兄と彼女を結婚させようとたくらみます。
残る最後の主人公、渚。
水商売で5年生のひとり息子を育てる女性です。
職業の偏見にさらされ、周囲の女性たちは彼女に冷たい。
息子は津波で冷蔵庫につかまって流されているところを福子に救出されます。
福子が、衝立を使わせない男性リーダーに替わって避難所の新リーダーとなったあたりから、話は動き出します。
最後は垣谷さんの著書らしく
最悪の困難は解決し、
希望に満ちた終わりかたでほっとします
主人公たちのかわいい東北弁にも終始癒される
そして、読んでいる最中、
私は元旦那さんの実家を思い出していました。
物凄い男尊女卑の土地柄でした。
そしてごく当然のように、それを受け入れ男に仕えている女たち。
若かった私は内心、元旦那さんの実家のそういう部分をちょっと小馬鹿にしていたものでした
若干へんこで心優しき舅さんは
末息子の嫁の私を、とても大切にしてくれました
舅は大阪にも孫の顔を見に、よくひとりで連泊で遊びに来てくれました。(姑さんはその頃には亡くなっていた)
大阪では一緒にスーパーに行ったり。舅は料理も掃除もしてくれて夜は一緒に晩酌したり、楽しい思い出がたくさんあります。
ただ、大阪で会うととても優しい人なのに、
義実家で他の人を交えて会うと、舅はちょっと嫌な人になります
舅の口から出るのは近所の噂話とか
仲違いした親戚たちの悪口とかが多かった。
そして、義実家に元旦那さんの兄姉たちが集まると、男たちはじっとしたまま、女たちに命令口調。『おい、酒!』『水!』みたいな
舅も途端に動かなくなります。
書いているうちに
色々思い出してきました。
私たちが帰省するのに合わせて、近所のオヤジたちがたまに集まりましたが上からものを言う人が多かったです。
『男産んででかした』
『お義父さんを何があっても大切にしろ』とか。
適当に合わせていましたが、
息子はかわいいし義父も大切にするが、あんたらに言われることじゃないと内心不愉快でした。
そうそう、
悪夢にうなされそうになった出来事を思い出したので書かせてください。
義実家の、近所の家の宴会に招かれたときのこと。
その家には、私と同い年ぐらいの嫁さんがいました。
彼女には当時乳飲み子がいました。
赤ちゃんを早く寝かさないといけないので、
彼女が子供とふたりで先にお風呂に入っていました。
赤ちゃんを湯船からあげるのを手伝うために、扉の前にたまたま私がおりました。
そのときです、
彼女の舅が酔っ払って、風呂の扉の前まで来たのです
私『何ですか?』
爺さん『わしが風呂から孫をあげる。わしの孫やから』
風呂の中では嫁が恐怖で息をひそめています。
私『私があげますよ。』
爺さん『わしがあげる。普通のこと。わしの孫や。』
私『お嫁さん入ってるでしょ?
絶対ダメですよ。私が赤ちゃんあげますから!』
と大きな声で言うと、
キモジジイは奥さんに見つかるとヤバイと思ったのか引き下がりました。
いま思ってもベストに入るぐらいの、
元旦那地元のキモイ思い出です。
ジジイが去ったあと、
嫁さんから赤ちゃんを受け取ると、
消え入るような声で『ありがとう』と。怖いよね、なんなんじゃ、あれは。
小説中の、
嫁が避難所で見えないように毛布を胸にかけて赤ちゃんに母乳をやるのを、必死で見ているキモジジイたちを思い出しました。
やっぱり小説の裏表紙に書かれているとおり、
憤っちゃった。
やるわ、この小説。
聞いてくださり有り難うございました。(^人^)
もう夫とは随分前にお別れしたので、義実家は関係のない場所になりました。
ちょっぴり切なくなる、懐かしい思い出です。
話変わります。
最近また作った、羊毛フェルトみてください♪
何に見えますか?
ハムチャンですよ。
ハムチャンは、本来顔の真ん中が盛り上がっています。
これからの課題です。
長々と読んでいただき有り難うございました。
😊