にょ露と誰かの話
ひどく埃を被ったその机の顔が見えるようになるのには数分もしなかった。積もるのに幾つも月日を重ねてきたそれを全て払い落とす。
空気が籠っていたので部屋の窓を全て解放する。日が差し込めば全て灰になってしまいそうだ。
写真なんて一枚も残っていないし、思い出も何も。一緒に持っていかれたようなものだった。
「ああ、嫌だなぁ」
止まっていた針が動いたような、窓から覗く空の青さとか雲の白さとか太陽の暖かさとか。
きっとこの部屋の時も吹き込んだ風に動いて、化石化した気持ちも消えて。
「まだ」
そんな言葉ばかり繰り返していたら、いつの間にか季節は何度も廻って。
確かだった気持ちも、よく分からなくなって。
「…本当に、酷いなぁ」
酷い話だった。
それだけで済めばいい。
きっとまたこの部屋に埃が積もる頃には、同じことをして同じことを思って。
結局。