季節はめぐり

冬が老いてゆく


硬いつぼみが

ゆっくりと

内側から押し開くように

ほどけて

ほころびて

陽の光の元

この世の春

小さな歓びを知る


こんなに柔らかく

美しく

咲いたよ


揺らめく遠い世界

無邪気に舞う一羽の蝶の

銀の粉を散らす羽根

あなたは来ない


誰にも知られず

語られることもないまま

やがて萎れ

枯れて

次の芽吹を待つ


音のない暗闇

あなたを想いながら


一年が過ぎ

次の一年

眠りの中

深く切なく

焦がれながら


あなたは来ない

あなたは来ない


その春も

私はひとり

鮮やかに咲くだろう

孤独の舞台

光帯の陰で


ひとひらの花びらに

新しい水を満たして


たとえあなたが


私に気が付かなくても