10/24(土)、ショート・ショート・フィルム・フェスティバル&アジア 「フォーカス・オン・アジア」(←タイトル、長い)に行ってきました。 6月の SSFF で観損ねたユ・ジテ氏監督作品 「招待」 を観るのが目的。


会場は、恵比寿の東京都写真美術館内の映画館。 写真美術館は何度か、写真展を見たり、近藤さんの公開練習を観に来たりしたことはありましたが、映画館に入ったのは初めて。 こじんまりとしていて、見易かったです。 スクリーンはやや小さめでしたが、ショートフィルムだったからなのか、元々なのかは分かりません。 もう少し大きめのスクリーンでも良いかと思いましたが、前の人には見にくいのかな。


上映作品は、7本。 簡単な作品紹介は、以下の通り。(SSFF のサイトより引用)


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「彼の結婚式」(韓国): 元彼のスンヒュンから電話を受けたジヨンは、彼の結婚式に出てほしいと頼まれてしまう。 式の当日、ジヨンの気持ちなどおかまいなしに鳴る時計のアラーム。実はスンヒュンも、ジヨンのことが忘れられず落ち着かないでいた。それぞれに切ない想いを抱えて2人は結婚式場へと向かう…。


「LINE」(日本): 街の中、壁にチョークで白線を引いていく少年。人々は子供のいらずらと思い、気に留めずに地上の生活を続ける。しかし白線はあらゆるものに引かれていき、やがていたずらという範疇ではないことがあきらかになる…。


「ボリウッドの日常」(インド): アルバート・ピントは、ボリウッドの売れない俳優。いくつものオーディションを掛け持ちで受ける毎日が続いていた。他人を演じ続ける-そんな日常をおくることでアルバートはやがて’演じる’世界と’現実の’世界の境を見失って行く…。


「カプセル」(日本): 母親を助ける為にあるゲームに参加した男。そのゲームとは二錠のカプセルから一錠を選ぶというゲームだった。果たして男が選択するカプセル<未来>にはどういう結末が待っているのか?


「招待」(韓国): 退屈な人生を送る男と、キャリアウーマンだがそんな生活から抜け出したいと願う女。現代社会の「非コミュニケーション」化した現代社会を描いた作品。クリス・マルケル監督の映画『ラ・ジュテ』へのオマージュとして制作された。 『ノートに眠った願いごと』のユ・ジテ×オム・ジウォンが再共演!


「18時9分の花」(日本): 変わらない毎日を生きる男が、ふとしたきっかけで花屋の女性に出会い、世界が色づき始める。


「ハーフケニス」(日本): 1943年、ハーフの日系アメリカ人のケンとジョーは、強制収容所で日本人の父親を亡くした。ハーフであるが故に、外の世界にも収容所にもなじめない孤独な二人は、収容所を脱走し、白人の母が住む実家へと旅に出る。


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良かったなと思ったのは、「LINE」 と 「ハーフケニス」。


「LINE」は、主人公(?) の男の子の雰囲気も良かったし、どうなるのか全然分からない展開に興味が引かれた。 何より、画面を見てるだけで、意味は分からなくてもすごく楽しめました。 最後のエコのメッセージも押しつけがましくなく、余韻

を残して効果的だったと思います。


「ハーフケニス」 は、内容から想像してたのと違い、とてもドライなタッチで、主人公の少年(兄弟2人)の反応も、物足りないくらいでしたが、案外これくらいがリアルかなと思いながら観ました。 時間がたっても、印象が薄れず、後からの方が良い作品だったなと思えてきた。


「彼の結婚式」 は、画面作りのアイディアは面白かったけど、感情面であまりシンクロできず、特にラストの主人公の女性の振りきり方は、説明不足というか、紋切り型の印象。 画のアイディアありきだったのかな。


「ボリウッドの日常」 も、途中までは面白かったですが、落ちがイマイチ。 もっと、非現実的な方が良かったような。 個人的趣味ですが。


「カブセル」 は、前に見てたけど、2度見ても飽きなかった。 ちょっと意外でした。 失礼なコメントで、すみません。


「18時9分の花」。 内容的に、えー、それで良いのか? と思うところもありましたが、和風なテイストが心地よかったです。


そして、ユ・ジテ氏の 「招待」。 オープニングの画が非常にスタイリッシュで、ステキでした。 ジテ氏の撮る画、好きかもと思った。 観てすぐ、去年の SSFF の舞台挨拶の時に話していた、写真で作る映画(パラパラマンガの原理)だと気が付きましたが、不思議な感覚が面白く、全然不自然に感じなかった。 すごく巧い。 話は、現代の都会のファンタジーとでも言うのか、ちょっと良く分からないところもありましたが、ふわっと消えてしまう感じが良かったです。

 

で、今回は入場の時に張り紙があったので分かっていましたが、終演後に、ユ・ジテ氏登場~! 東京国際映画祭の審査員で来日中とのことでしたが、忙しい中時間を作って来てくれました。 本当に映画が好きなんですね。 熱心さ、誠実さに頭が下がります。 


前見た時は、ぴっちりしたTシャツでマッチョに見えましたが、今回は黒のスーツに白いシャツで、スラッとした感じ。 素敵でした。 そして前回は、帽子で良く見えなかったお顔も、今回は帽子なしだったので、じっくり拝見。 「招待」 にも出演されていましたが、映画の中のちょっとスノッブ的な感じとは違い、本当に人の良さそうな好青年の印象を受けました。 ずっとニコニコしながら、映画について熱く語っていました。 ただ話を聞いていると、わざと短編映画の時間枠から外れた作品を作ったとか、作品ごとに違うものに挑戦したいとか、実験的な映画を撮っていきたいとか、なかなか骨太なコメントが飛び出てきて、目的意識も論点も明確だし、強い自我も感じられて、やっぱり映画監督らしい。 次は、長編映画の企画もあるらしいので、楽しみです。


質疑応答の時、ファンらしき人が質問して答えてもらったり、ジテ氏が帰る時、何人もプレゼントを渡したり、握手してたのが、ちと羨ましかったです。 あんな小さな空間で一緒にいられて、じっくり話が聞けて、あんな近くまで行けちゃって~。 いいなぁ。 比べるものじゃないとは思いつつ、やっぱり羨ましいですね。 ま、私はたとえチャンスがあっても、近くじゃ顔もまともに見られないだろうけど。^^;


それから、会場を出ようと出口へ向かう列に並んでた時、ふと気がつくと、スクリーンで 「ちょっとちょっとシアター」(ブリリアショートショートシアターのCM)が流れていたので、慌てて近くの席に着席して、くすくす笑いながら見ました。 しかし考えてみると、よその映画館で(しかも公立)で、CM を流すのって、大丈夫か? さすがに音は絞って、ひっそりと流してたけど、この控え目さと、自分の映画館の CM を流す押しの強さ。 バランスの良さというか、アンバランスというか、「ちょっことちょこっとシアター」 らしさが面白かった~。