予告を観て、観たいと思っていた映画です。ヤマシタトモコさんのコミック「違国日記」を読んだことはなかったので、予告でしか知らない情報でみました。
《イントロダクション》公式サイトから
累計発行部数180万部を突破した、ヤマシタトモコの人気作品『違国日記』。「心が救われる」と大きな反響を呼んだ傑作コミックが、待望の映画化!
主人公・高代槙生を演じるのは、いまや国民的俳優のひとりとなった新垣結衣。近作映画『正欲』(23)でもこれまでのイメージを軽やかに覆した新垣が、不愛想で人付き合いが苦手、でも心の中に人知れず激情を隠し持った槙生を凛々しく熱演し、さらなる新境地を開拓する。もうひとりの主人公・田汲朝にはオーディションから選ばれた新星・早瀬憩。初めて見る“風変りな大人”=槙生に戸惑いながらも、持ち前の天真爛漫さで槙生の心を動かしていく朝を、早瀬が瑞々しく体現した。
他にも夏帆、瀬戸康史をはじめ、小宮山莉渚、染谷将太、銀粉蝶といった実力派キャストが揃った。監督と脚本は、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)など繊細な心情を描いてきた瀬田なつき。
年齢も性格も生きてきた環境も異なるふたりが、互いを理解できず葛藤しながらも、まっすぐに向き合い日々を重ねる。それはいつしか家族とも友人とも異なる、かけがえのない関係へと変わっていく――。
《あらすじ》公式サイトから
両親を交通事故で亡くした15歳の朝(早瀬憩)。葬式の席で、親戚たちの心ない言葉が朝を突き刺す。そんな時、槙生(新垣結衣)がまっすぐ言い放った。
「あなたを愛せるかどうかはわからない。でもわたしは決してあなたを踏みにじらない」
槙生は、誰も引き取ろうとしない朝を勢いで引き取ることに。こうしてほぼ初対面のふたりの、少しぎこちない同居生活がはじまった。人見知りで片付けが苦手な槙生の職業は少女小説家。人懐っこく素直な性格の朝にとって、槙生は間違いなく初めて見るタイプの大人だった。対照的なふたりの生活は、当然のことながら戸惑いの連続。それでも、少しずつ確かにふたりの距離は近付いていた。
だがある日、朝は槙生が隠しごとをしていることを知り、それまでの想いがあふれ出て衝突してしまう――。
《感想》
原作であるヤマシタトモコさんの同名マンガは韓国・台湾でも人気を集めており、韓国・台湾・タイでの劇場公開も決定し、瀬田監督が「『違国日記』が、異国に! とても嬉しいです。キャスト、スタッフと丁寧に作り上げた大切なこの映画が、海を越えて、違う国の映画館で上映される。すごくワクワクします。ひとりでも多くの人に届くといいなと思います」と喜びをあらわにしていることをニュースで知り、海に渡るんだ、人の気持ちはわからなくても寄り添う気持ち、優しい空気が世界に渡っていったらいいなって私も思いました。
ある日突然、目の前で両親を交通事故で亡くしてしまった15歳の少女、朝。悲しいのかわからない状況で葬儀に参列していた。そんな中、親戚たちの心ない言葉があちらこちらから聞こえてくる。
たらい回しにされたらと思うと槙生は耐えられなくなってしまった。「あなたを愛せるかどうかはわからない。でもわたしは、決してあなたを踏みにじらない。うちに来たらいい」と言い放つのだ。槙生は亡くなった朝の母親の妹。朝の母親とは折り合いが悪くまったく交流はなかったので、朝について何も知らなかったのにだ。
人見知りで、好きな男性とは結婚することも子どもを育てることも自分は性に合わないと言って別れている槙生。“勢いで” 姪を引き取ってしまった。
あんな場面に晒しておくなんて、あそこから脱出したくなりますよね。
初めて見るタイプの大人である叔母に、興味津々な朝。大人になればみんな片付けができるのかと思っていたし、大人が友達とはしゃいでいるとこなんてみたことがなかった。
朝はお母さんを好きになってほしいと思ったけど、それは無理だ言われてしまうのだった。
子どもの時はピクルスは嫌いだったけど、大人になったら苦手じゃなくなったようにお母さんのこと好きになれるかもと朝は話してみたが、キッパリ無理と言われてしまうのだ。
そんなことを言われたら、一緒に住むの躊躇してしまいそうですけどね。
どこに行くあてもないから、来て良いと言われたところに行くしかないのですけどね。
常識とか、世間体を考えたら、朝の保護者になったのだから、中学の卒業式や高校の入学式に槙生は行った方がいいんじゃないか?なんて思ってしまう。
朝は遠慮して来なくていいなんて言っているんじゃないか?なんて思ってしまう。
でも、槙生は、行かなくていいと朝が言えばついては行かないし、部活、軽音やりたければやれば良いといい、朝が無断で試験を休んで槙生が保護者として呼ばれても、本人が選んだのだからと尊重するのだ。
朝は、お母さんなら迷った時導いてくれた。
好きにしたらいいと言いながら、色々言ってくれていた。
軽音はやめなさいとお母さんなら言うのにどうして引き止めないのか?と戸惑うのだ。
朝の人生は朝のもの、好きにしたらいい。
お互い理解するには時間が必要で、わからない時にはわからなくてもいい。相手は自分じゃないんだし、同じ経験したわけでもないんだから、わかったふりをするよりもわからないままでいいと。あなたの側にいるよ、私ができる寄り添い方でねって。自分に無理をしない、相手にも無理をさせない、まっすぐ向き合い、自分とは違うんだということを理解し、自分のできる範囲でやる。朝と槙生の関係は肩の力が抜けた関係に見える。
朝が学校へ出かける時の槙生の「いってらっしゃい」は肩の力が抜けたような声かけはそういうことなのかと感じる。
槙生と朝の関係は、家族とも友人とも異なるが、かけがえのない関係へと変わっていっていった。
槙生の親友、醍醐奈々(夏帆さん)、槙生の元カレの笠町信吾(瀬戸康史さん)の2人がとても良い距離感で、良い関係を築いている。
朝が羨ましいがっていたのがわかる。
人と付き合う時は、分かり合えるが前提より、分かり合えないのが当たり前。相手が言いやすいように、自分がはっきり言うことの大事さを改めて感じる。つい遠慮してしまえば、相手も遠慮し、距離感が掴めない。
でも、あなたのことを踏みにじったりしない、自分は誠実にいるからねと伝え、自分の思いは伝える。裏表はないことだけはわかるからこそ、わからなかった関係から程よい関係になれるのかもと思いました。
槙生が小説書けるのは、姉の言動があったからこそでもあったんですね。姉を憎むことで“死ぬ気で殺す気で”書き続けたから今があるんだと感じる。
朝とえみりの関係も、色々考えさせられました。
悪気があっての言動ではないけど、傷つけてしまうことってあるなと。
朝の両親が亡くなったことをえみりが親に話てしまったことで、えみりの親が学校へ連絡し、学校は気遣ってみんなに配慮するようにと話をしてしまうのだ。
朝は望んでいない配慮をされてしまうのだ。
今日一日何もなかったように過ごしたかったのに。
親の死を受け止めきれていないのに。
先生はまずどうしたいのか聞いてくれなかった。
友達も頼んでいないことをしてくれて、謝られても違う世界に連れて行かれたような状況になってしまったのだ。
以前住んでいたところに帰ってしまい、帰り方がわからなくなってしまったのだ。やっとの思いで帰ってきたら、遅くなるなら連絡してと言われてしまうのだ。
帰り方がわからなくなったと言うと、もうそれ以上は言わない。
朝の携帯の音が何度も鳴っている。
それに対しては、槙生は察してアドバイスをぼそっとするのだ。朝を動かしているのだ。
朝が掃除してくれた時に、槙生の書きかけのノートがたくさん出てきた時に、日記を書いてみたら?とノートをあげ、アドバイスをするのだ。
あなたの今の気持ちを書けば良いと。それが嘘の話しでも良いんだ。何を書いても良いんだよと。
朝の今の気持ちを大事にするといいことをアドバイスするところもなかなか良いなと思う。
軽音部で作詞した時に、アドバイスが欲しいといった時のシーンも良いなと思う。
「エコー」から連想する言葉を出し合っていく。
一つの言葉から色々な広がりみせてくれる。
えみりが朝に体育館で打ち明けた話。
自分の固定概念で話をしてしまうことで相手に傷つけてしまうことがあるなって。朝のように言ってしまうことあるなってことを気付かされる。
私はこういう人なんだって勇気のいることなんだけど、「傷ついた」「あっ、ごめん」と言える関係が良いですね。
自分が何者かを知っておくことが一番大事だなって思いますね。
何が好きで、何が嫌いなのか。
何を大事にしたいのか。
そこがわからないと始まらないなって思いました。