「飯を食う以外は座らないんだよ。足腰を鍛えないと人間は走れなくなったら終わりだからね、ははははっ。」by西島会長
「今日は三瓶先生入るのかな?」by西島会長
「西島会長よ。関東医大の同窓会長してらっしゃるの。」by津幡師長
「うわさは聞いているよ。随分と優秀なんだって?うん」by西島会長
「何か用ですか?」by三瓶先生
「いや、一度会ってみたくてね。」by西島会長
「ちょっとすみません。三瓶、救急の受け入れ要請。」by星前先生
「患者が第一だよ。」by西島会長
「山本さんご気分いかがですか?」byミヤビ先生
「大丈夫です」by山本
「山本さんは以前もここに緊急搬送されてますよね。」「今日のてんかん発作はそのときの脳出血の後遺症だと思われます。」byミヤビ先生
「じゃあ、これからもこういう発作が?」by山本美央
「う〜ん、検査の結果しだいですが1度てんかん発作を起こした患者の約70%が発作を繰り返してしまうという報告があります。」by三瓶先生
「ちょっとびっくりしちゃいますよね。まあ、でもてんかんは抗てんかん薬というお薬で防げますから。」「定期的な検査は必要になるんですけど、忘れずにお薬ちゃんとのんで、後は体調管理に気をつけていただければ、今の時点では心配ないと思います。」byミヤビ先生
「障害者雇用促進法という制度をご存じですか?検査の結果、山本さんは事務職としてであれば、この制度を使って職場復帰が可能です。会社側も助成金が出たりとかメリットがある制度なので負い目を感じる必要もありません。」byミヤビ先生
「こんな俺でもまだ働ける。それがどんなにうれしかったか。」by山本
「あのときはもうね、私が代わりに働くって言っても俺が稼ぐんだってこの人、聞かなくて。」by山本美央
「そりゃ働いて家族守んのが俺の役目なんだから。」by山本
「俺だってな、守んなきゃいけねぇものだってあるんだよ。」「三瓶先生、三瓶先生、君一体何したのよ。」by藤堂院長
「西島会長がね、じきじきにいらっしゃるなんてよっぽどよ」by津幡師長
「これ何か味付け変えました?」by三瓶先生
「うん?いや変えてへんけど口に合わへんか?」by高美
「いや、何かちょっと濃いなと思って。」by三瓶先生
「今日来た山本さんなんですけど。前に来てるなら…。抗てんかん薬を出してたら発作を防げたことになりませんか?」by風間先生
「1度もてんかん発作を起こしたことがない患者への予防投与は推奨されてません。」by三瓶先生
「まあ、まれに薬を処方されるケースもあるけどね。私もそうだし。」byミヤビ先生
「のんでるんですか?」by三瓶先生
「大迫教授が安心のためにって。」byミヤビ先生
「ミヤビちゃんも脳損傷してるし、安全策を取ったってことか?」by星前先生
「ちょちょ…やめてよ?大迫教授の診断にけちつけないでよ?」by藤堂院長
「べつにけちつけてないですよ。抗てんかん薬の予防投与には明確な根拠が乏しいんです。」by三瓶先生
「確かに気にはなりますよね。」by津幡師長
「また関東医大に乗り込むつもりですか?」by津幡師長
「まあ納得いかないんで。」by三瓶先生
「ほんとに気にかけてるんですね。川内先生のこと。」「あっ、だったら星前先生行ってきてよ。」「三瓶先生が行ったら、またもめるでしょ。それに星前先生は、ほら綾野先生と同期なんだし、うまいこと話つけてきてよ。」by津幡師長
「うちにてんかん発作の患者が来てさ。」「脳出血で1度受診したことがある患者なんだけど、そのあと抗てんかん薬を出してなかったんだよね。」by星前先生
「まあ、そういうケースも多いよね。」by綾野先生
「例えばさ、大迫教授もそういう方針だよな?」by星前先生
「そうだけど」by綾野先生
「だけどさ、実はミヤビちゃんが処方されてるらしいんだよな。大迫教授に。いや、過去に、てんかん発作起こしてるわけでもないのに何でだって話になってさ」by星前先生
「ちょっと待った。何でお前が急にそんなこと言いだしてんの?」「どうせ三瓶先生でしょ。何であの人はそこまで大迫教授を疑うのよ。」by綾野先生
「いや、わかるよ。だけどさ大迫教授は予防投与には否定的な立場なんだろ?お前もさっき言ってたじゃん。なのに、何でミヤビちゃんには予防投与してる?」「いや、もしさ、予防投与じゃないとしたら?」by星前先生
「川内先生は過去にてんかん発作を起こしたことがあるのかもしれません。」by三瓶先生
「いや、ないから。そもそも患者本人に隠す必要もないし、医者としてリスクが高すぎるでしょ。」by綾野先生
「俺はただミヤビちゃんが心配なんだよ。大迫教授の診療記録を見てほしい。」by星前先生
「でもそれって、大迫教授が私にうそをついてるってことですよね。そんなことありえません。」byミヤビ先生
「それをこれから調べるんです。本当に川内先生が過去にてんかん発作を起こしたことがないかどうか。」by三瓶先生
脳波に異常は見られませんでした。ただし、きちんと確認するためには、最低3回の脳波検査が必要になります。」by三瓶先生
「薬をやめてみれば発作があったかどうかわかるんじゃないですか?」byミヤビ先生
「だめです。もしあったら再発の危険性があります。まあ血液検査の結果も踏まえて検討しましょう。」by三瓶先生
「三瓶先生に会ったよ。なかなか面白い目をしているね。」by西島会長
「厚労省の松木と約束しちゃったからね。綾野病院をうちの傘下に入れて地域医療構想に協力するってさ。ははははっ。それがみんなのためだよ。」by西島会長
「てんかんを抑える薬をのんでるんで睡眠不足は避けろって医者から言われてて」by山本
「会社としてもまずは社員の健康第一だから、いっそ、しばらく仕事を休んでみたらどうかな?」by上司
「一度私が上司の方とお話してもいいですか?」byミヤビ先生
「血液検査の結果なんですけど、抗てんかん薬の血中濃度がかなり低いんですよね。」「この量で効いてるのかどうか。」by三瓶先生
「全体を考えろ。これほど都合のいい言葉はありません。全体のために犠牲になる人たちのことはどうするんですか?仮にそれが川内先生だったら?僕は医者として真実が明らかになるまで引き下がることはありません。」by三瓶先生
「そろそろ定期検査をしたほうがいいから帰りに予約してから帰って。」by大迫教授
「出していただいてる抗てんかん薬って予防投与ですよね?」byミヤビ先生
「そうだよ、のんでおいたほうが安心だからね。」
「何か疑問があるなら説明するけど」「薬はきちんと飲んでいるよね。」by大迫教授
「そんなに水やったら逆に葉っぱを傷めますよ。」by三瓶先生
「大迫教授に聞いたやり方なので。」byミヤビ先生
「何でも信じるんですね、大迫教授の言うことなら。」by三瓶先生
「財布がない。」byミヤビ先生
「ミヤビちゃん一旦止まろうか。聞こえる?ミヤビちゃん、ミヤビちゃん」by星前先生
「川内先生わかりますか?」三瓶先生
「わたしが残ります」byミヤビ先生
「てんかん発作ですね」by三瓶先生
「こうすると影が消えます」byミヤビ先生
「てんかんの発作を起こしたんです」「もしかして薬をのむのをやめたんですか?」「側頭葉てんかんです。川内先生の場合は夢遊病のような歩行自動症に加えて発作性発語が認められました。」by三瓶先生
「薬をやめてこうなったってことは、やっぱり川内先生は過去にてんかん発作を起こしていた可能性が高いです。」by三瓶先生
「ミヤビちゃんの検査結果を見つけたよ。大迫教授が管理している診療記録を見るのは無理だけど脳波室のデーターなら誰でも自由に見られるからね。ミヤビちゃんのフォルダにはファイルが7件。でも中身は全部消されてた。」by綾野先生
「大丈夫ですか?そんなの見せて。大迫教授にバレたら大変ですよ。」by三瓶先生
「あなたが言ったんでしょ。それに、まあ僕も医者だからね。」by綾野先生
「復元できそうですか?」by三瓶先生
「昨日と同じ側頭葉てんかん発作です。大迫教授隠してましたね」by三瓶先生
「おかしいな。2回目の検査では発作がなくて脳波も正常だったのに、3回目でまた発作が起こってる。」by綾野先生
「薬の量を変えたんでしょう。」by三瓶先生
「治ってたのに何で変える必要があんだよ。変じゃん」by綾野先生
「いや、僕の仮説が正しかったらつじつまが合います。」by三瓶先生
「西島会長ですよね」by三瓶先生
「どういうことかな綾野くん」by大迫教授
「先ほど申し上げたとおり、川内先生の脳波検査を見せていただきました。川内先生のてんかん発作を伏せていたのはどうしてですか?」by綾野先生
「後で説明するよ。」by大迫教授
「川内先生の記憶障害を治したくなかったからですよね。川内先生が昨日てんかん発作を起こしました。薬をのむのをやめたからです。この論文、知ってますよね?てんかん性健忘について書かれた論文です。側頭葉てんかんが記憶障害を引き起こす症例について書かれてます。7回も脳波検査をしたのは記憶障害だけが残るぎりぎりの投薬量を計算するためですよね。記憶障害は残したいけど、昨日のように全身発作を起こしてしまったら周囲が症状に気づいてしまう。だからあんな低濃度の薬までのませて。あなたは意図的にてんかん性健忘を作った。」by三瓶先生
「それの…。何が問題なの?あなたは医者ですか?答えてください。あなたは医者ですか?彼女がどんな思いで…。脳外科医であろうとしてるのか。あんたが一番よく知ってんだろ。」by三瓶先生
「いい、トラブル禁止だからね。大体、担当医がこんなとこに来ること自体やり過ぎなんだから。くれぐれも穏便にね?穏便に。」by藤堂院長
「川内先生の記憶障害を治したくなかったのは西島会長のためですか?」by三瓶先生
「君は間違っているよ。確かに西島会長は綾野君と麻衣さんの結婚のことを心配している。でもだからと言って、私がそんなことで患者を犠牲にすると本気で思っているとしたら…。君のほうが医者としてどうかしているよ。」by大迫教授
「じゃあ何でてんかんを治そうとしなかったんですか?あんな低濃度の薬しか薬を出さずに」by三瓶先生
「高濃度の抗てんかん薬は認知機能を低下させることがある。それぐらい知っているよね。まずは彼女のてんかん発作を止めて、その上で彼女が医者として働きやすい最小限度の服用量を決めただけだよ。」by大迫教授
「予防投与だと言ったのは?」by綾野先生
「偏見にさらされることなく彼女が医師として働ける環境を作ってあげたかったからね。」by大迫教授
「君の妄想で周りを巻き込むのはもうよせ。諦めろ。彼女の記憶はもう戻らない。」by大迫教授
「川内先生の記憶は消えてません。海馬に眠ってるだけです。」by三瓶先生
「だとしても、それを呼び起こす方法は…。存在しない。」by大迫教授
「てんかんと言っても患者さんによって原因とか危険度は異なるんですね。」で山本さんの場合は薬で再発作が予防できていますので会社を休む必要もないんです。」byミヤビ先生
「むしろ特別扱いしないでほしいんです。まあ障害があるので、確かにできることとできないことの選別は必要なんですけど、できる環境を整えていただければ。」byミヤビ先生
「特別扱いではなくて理解してほしいと申し上げてるんですよ。」「患者さんが社会復帰してね一番つらいのはできることさえさそせてもらえず可能性を断たれてしまうことなんです。まあかく言う私も最近それを学んだんですがね。障がいのある方が働くには周囲の理解が必要です。周りの人間が病気を正しく理解することで大半のことは解決できるんです。そういう形で社会の一員として迎えてもらえる場所がね、これ必要なんですよ。」by藤堂院長
「そんなにミヤビちゃんが心配?そんなに忘れられない?」by西島秘書
「大迫教授が言うこともまあ一理あります。」by三瓶先生
「でも三瓶先生は納得してないんですよね。私、抗てんかん薬増やしてみます。三瓶先生の仮説が正しければ薬を増やすことで記憶障害が改善するかもしれないんですよね。byミヤビ先生
「認知機能が低下するかもしれませんよ。」by三瓶先生
「光を当てると影が出来ます。人間は暗い所に光を当てていいことをしたと思ってる。新しく出来た影には気付かずに。アンメット、直訳すると満たされないという意味です。出来た影に光を当てても…。また新しい影が出来て。満たされない人が生まれてしまう。どうすれば、くまなく照らしてアンメットをなくせるのか。その答えを探してます。」by三瓶先生
「こうすると影が消えます。」byミヤビ先生
「何これ。昨日食べた豚足か。えっ」byミヤビ先生
「覚えてたんです。昨日の晩ご飯の豚足!」byミヤビ先生
ミヤビちゃんの記憶が戻っては困る問題って、綾野先生と麻衣さんの結婚問題でなんですか?別の何かがあるからと思ってました。
西島会長がわざわざ検査室までくるんですよ。
ミヤビちゃんと三瓶先生は婚約していたことは本当のような気もするんだけど。ミヤビちゃんと綾野先生で何があったのでしょうかね。
ミヤビ先生の記憶障害も新たな問題が出てくるみたいなので、大迫教授が少ない薬で治療を行う意味がありそうですね。
記憶障害って難しい治療ですね。
綾野先生のお父さん、次回傘下に入ること知って、喜びになるわけじゃないようですね。
高美さんの味付けの変化にいち早く気づく三瓶先生。次回は病気が見つかるようですね。