何度か予告を観た。アカデミー賞 作品賞 脚本賞 ノミネートされたということで、惹かれました。

 そして、auスマートパス会員だと、いつでも1100円で観れるということも。


 《あらすじ》公式サイトから


 ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。ふたりが選ぶ、運命とはーー。


 《感想》


 Yahooのニュースで、全米公開時にはたった4スクリーンで始まり、口コミの力で900スクリーンに拡大されたことを知りました。

 本作が映画監督としてデビューとなるセリーヌ・ソンは1988年、韓国・ソウルの生まれ。映画の中のヒロインの設定と同じく、12歳でカナダに移住した。現在は劇作家としてニューヨークの劇場を中心に活動しているとのこと。ソウル時代の初恋の相手と大人になってニューヨークで再会した自身の経験を基に脚本を書き上げたこと。自分の分身であるヒロイン、ノラ役をリーに任せたソン監督は、リーについて「前世(パスト・ライブス)で結ばれていた仲」だと話していたこと。本作のラスト近くの3人でバーで語るシーンも、彼女の体験に基づいて描かれたものだということを知り、実際の気持ちも込められた作品なんだと知りながら観ました。


 3人のバーでのシーンから始まり、3人はどんな関係に見えるだろうか?なんて話をしているところから始まる。周りからどんな風に見えるのか気にするのか?なんて思ってしまった。

 ノラとヘソンは韓国語、ノラとアーサーは英語で会話する。ノラが真ん中で、ヘソンとアーサーとの会話は通訳をしないとお互いの会話がわからない。

 ヘソンは、ノラによってアーサーと出会えた。

 アーサーもノラによってヘソンに出会えた。

 ノラにどちらも出会わなければ、出会えないのだ。

 この3人がノラ中心にどのように出会ったのか、運命を観てくれよということなのだろうかと考えた。


 ナヨンが12歳の時に家族は海外移住することを決める。ナヨンは母親に好きな人はと聞かれて、ヘソンと答える。韓国での思い出作りとして、ヘソンとデートのようなセッティングをしてもらった。ヘソンのお母さんは、ナヨンのお母さんに「なぜ移住をするのか?」を聞く。ナヨンのお父さんは映画監督、ナヨンのお母さんは画家で、今の状態で充分な生活だと思うのだ。わざわざ、捨てる必要はないのにと思うのだ。

 でもナヨンのお母さんは「捨てるということは、何かを得られる」というニュアンスなことを伝える。


 ヘソンにとっては突然のお別れとなってしまう。移住して、ナヨンからノラとなる。24歳の時、母親と会話している時にそういえば初恋の人はどうしているのかを思い出す。名前も思い出せないぐらいだった。ヘソンをネットで調べると自分を探していることを知るのだ。SNSを通じてオンラインで再会する。ソウルとニューヨークと距離は離れていても、泣いている時にいつも側にいてくれたヘソンだから話をしていて楽しく、心が通じ合う感覚ではあったが、ヘソンはニューヨークにすぐに会いに来てくれるわけでもなく、自分もソウル行きたいが、自分の夢もあってすぐに行かれるわけでもない。ノラはヘソンがいるソウルを考えてしまい、仕事が手につかなくなっていることに気がつく。自分の夢のためにやり取りをしばらくやめたいとヘソンに伝える。

 ヘソンはまたも突然のシャットアウトとなる。


 ヘソンは、一度試験で1番になったことがあるが、いつもナヨン(ノラ)を追いかけている状態なのだろう。


 移住したばかりの時は泣いていたノラ。

 でも、ヘソンのような人はいなく、必死に生きてきた12年間だったのだろう。未来を見続けて生きてきたから、初恋の名前がすぐには出て来なかったのかと思うのだ。

 ニューヨークで作家として暮らしたい夢を実現する為には、ナヨンに戻ってはいけないのだ。

 移住しなければ、もしかしたら、ヘソンが運命の人だったのかもしれないが、12歳で移住する運命なら、ヘソンも移住しない限り運命の相手にはなれないのだろうと思った。


 ノラにとっては、ニューヨークに住めることが運命の条件だったのだろう。ソウルはもう旅行する場所なんだろうなと思う。

 だから、グリーンカードを持つことができる人と巡り会えることがまず第一条件となる。

 そしてたまたま同じ日のワークショップでアーサーと出会ったことは運命的な出会いと感じるのだろうと思う。同じ作家を目指していることも。

 韓国語で話すのは、母親とヘソンだけだと言っているぐらいだから、もう、英語中心の生活なのだ。


 36歳、ノラはアーサーと結婚して5年目の時に、ヘソンはニューヨークへ遊びにくるのだ。

 ノラは、寝言が韓国語であったことをアーサーから初めて聞かされる。

 アーサーにとっては韓国語がわからないから、どんな夢を見ているのかがわからないのだ。

 

 アーサーは、自由女神をみるフェリーには一度も乗ったことがないと言う。

 観光客が行くところだったりするのかな⁈

 地元の人は、わざわざ行くようなところではないのだろうかと思うが、もしかしたら、デートとかでも行くようなところで、ノラとアーサーはデートとかせずに結婚したのかな⁈なんても思った。

 アーサーはヘソンにヤキモチを焼くが、そこは作家であるので、うまい表現でノラに伝える。

 ノラにとってもアーサーは大切。自分の夢を叶えてくれる存在。


 ヘソンは、ナヨン(ノラ)に夢を聞く。ノラは12歳では、ノーベル賞を、24歳ではピュリッツァー賞、36歳では、トニー賞と答える。


 ヘソンはニューヨークへは遊びに行く場所であって住む場所ではない。韓国から離れて暮らすことではない。

 そして、夢を聞く人で、傍観者にしかなれないのだろう。

 12歳で移住してしまったことで運命の人にはなれない。36歳で、ナヨン(ノラ)後を追いかける人生ではなく、別の人生を歩むことができるようになったのだろうなんて思う。


 ヘソンに会うことで、ナヨンとノラが融合したのかなと思った。

 12歳でナヨンとは決別し、新しい自分を作り出して生きていたのだろうかと思う。そう生きていかなければやれなかったのだろう。ナヨンを捨てることでノラという新しい人生を得ていたのだろうと思うのだ。

 でも、ヘソンに会うことで、ナヨンのキャラクターにもう一度出会えることができた。

 ナヨンを取り戻し、泣ける自分になったのかもしれないと思った。

 アーサーはどんな時も受け止め、信じて、応援してくれるのだなと感じたラストだった。


 ノラとヘソンはよく見つめ合うシーンが多かった。何かこの先にあるのかな?なんて思うが、何にもない。発展がない。運命な人ではないからなのか⁈

 運命があったら、その先に何かが生まれるってことなのだろうか?

 あんなに見つめ合ったら、恥ずかしくなりそうなぐらいだった。何か言いたいけど、いえないのか?

 言わなくても通じ合う仲なのか?見つめながら、私はこの人とどんな関係なんだろうか?と考えていたのだろうか?

 まっすぐに向き合って、自分の人生の選択を考えていたのだろうか?

 色々な見方があるけど、実際はどんな気持ちで演じていたのだろうか?


 もし、あの時、違った選択をしたら?運命って?と考えると、本当にこれで良いのか思うこともあるが、どんな人生も運命だったになるんだろうな、なんて思ったりもする。出会うべき時に出会うのが運命で、発展しようと思わなければ運命ではないのかもしれない。

 ノラは、ヘソンとのつながりを何度か切ってしまった。でも、それでもつながりがあるのは、ヘソンが繋がりたかっただけなのだろうか?縁があるのでは?なんてみてしまう部分もありますが…。

 何かを選択するということは、何かを捨てるということなのだろう。でも、ノラは、ソウルで暮らしても、ニューヨークで暮らしても、どちらにしても、優しい男性が側にいてくれる人生を歩めていたのでは⁈なんて感じる。