春の雨、曇るシールド | 菅生雅文

春の雨、曇るシールド

つい先月まであんなに寒かったのに、このところ

まるで春のように暖かい。そうか春だったのか。

今夜は雨。久しぶりだ。

これで各地の山火事が消えれば。


雨に打たれながらの仕事帰り、

生暖かいものだからヘルメットのシールドが曇る。

車線がよく見えない。

瞬時にブレーキがかけられるよう

細心の注意をはらいながら、

トラックのにじむテールランプの灯りを頼りに走る。

喉元からひとすじ、雫。

合羽の合わせ目が甘かったか、胸を伝って腹部に。

ハンドルから手を離すわけには行かない。

そのまま放っておく。


不思議なもので、

そうした状況がそれほど嫌いでもない。