ずるい文章の見本 | 菅生雅文

ずるい文章の見本

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項目その一。

「保険証が変わります。新しい保険証を大事にしてください。」

保険証は大事にするのが当然。言うまでもないことを言って、

それはその通りだと読み手をうなずかせ、

まずは次の項目へいざなう。


項目その二。

「窓口でのご負担は、これまで通り原則一割負担。

治療内容も変わりません。ご自身の担当医を持つことも可能です。」

今までと変わりませんと強調し、ここで目くらまし。

実際には窓口以外での負担が増えるのに、

その点については触れない。


項目その三。

それまでうまいこと言いつつ、実はカネもらうよと

ここでようやく明かす。項目その二までで

〈負担は今まで通りなんだなあ〉と安心させておいて、

ここにきて〈だけど保険料はしっかり天引きしますのでよろしく〉と述べる。
汚い手だ。だましの文言の見本のようだ。

ウソはいっさい言ってないが、焦点をぼかし、

真実を語らない。
庶民をケムに巻くという点で、実によくできた文章だ。

お年寄りのための素晴らしい医療制度ができたような

錯覚を読む者に与えている。

さすが政府広報。

お書きになった人は良心が傷まないだろうか。






※昨日、忙しいのでブログをしばらく休むと書きつつ、

本日の夕刊の政府広報を読んだら

文章があまりに立派なものなので、つい。