新宿雑踏、詩集売りの女 | 菅生雅文

新宿雑踏、詩集売りの女

夜、新宿で打合せを兼ねて飲む。最後にションベン横丁に寄り、

切り上げて西口の雑踏を歩いていると、いた。

暗がりの中、激しくうごめく人ごみにひとり立ち、詩集を売る、あの女性。

手書きの文字。簡素な製本。手製そのものの詩集だ。

利益率も実売部数も返本率もセールス・プロモーションも関係ない。

表現し、伝えたい。その痛々しいまでの純粋さ。

買わずにいられない。

読まずにいられない。